大高宏雄
著者のコラム一覧
大高宏雄映画ジャーナリスト

1954年浜松市生まれ。明治大学文学部仏文科卒業後、(株)文化通信社に入社。同社特別編集委員、映画ジャーナリストとして、現在に至る。1992年からは独立系を中心とした邦画を賞揚する日プロ大賞(日本映画プロフェッショナル大賞)を発足し、主宰する。著書は「昭和の女優 官能・エロ映画の時代」(鹿砦社)など。

単館系正月ムービーはインド製作の“ナプキン映画”が面白い

公開日: 更新日:

 正月映画は、大手の映画なら妻夫木聡の怪演がすばらしい「来る」を推すが、単館系ではインド映画の「パッドマン 5億人の女性を救った男」が抜きんでて面白い。女性の生理用品(ナプキン)を安価に製造して成功を手にした男の話だ。

 インドの女性たちはつい最近までナプキンが高額で、汚い布で処理をすることも多かった。またインドでは生理そのものへの偏見も凄まじく、生理中の女性は忌み嫌われることも珍しくなく、宗教といった伝統的な側面からもナプキンは“疎外”されていた。映画は、そのような背景をしっかりと描き込んでいる。

 主人公は新婚のラクシュミという男だ。妻が使う粗末な生理用品に我慢ならなくなり、一念発起してナプキンを安価に作ることを決意する。妻への愛情が奮起させる。それ以上の理由はいらない。

 経営していた工房も手放し、周囲から借金までして悪戦苦闘の末、目的にたどり着く。が、本作は単なる成功譚ではない。大きな見どころは、女性たちの共同作業を交えて成功を勝ち取っていくところだ。ラクシュミは開発したナプキンの浸透をインテリ女性と行い、製造・販売をごく普通の女性たちの手を借りて進めていく。これで女性の仕事も増え、彼女たちのやる気も喚起していく。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    日本球界今オフを襲うポスティング地獄…“予備軍”もゴロゴロ、空洞化ますます加速

    日本球界今オフを襲うポスティング地獄…“予備軍”もゴロゴロ、空洞化ますます加速

  2. 2
    佐々木朗希とのただならぬ関係…陰で糸引く「黒幕」は大船渡高時代の韓国遠征まで追いかけた

    佐々木朗希とのただならぬ関係…陰で糸引く「黒幕」は大船渡高時代の韓国遠征まで追いかけた

  3. 3
    ついに国民年金65歳まで納付案が…政府がヒタ隠す「年金積立金250兆円」という都合の悪い真実

    ついに国民年金65歳まで納付案が…政府がヒタ隠す「年金積立金250兆円」という都合の悪い真実

  4. 4
    キムタクを縛り続ける《公称176cm》のデータ…「Believe」番宣行脚でも視聴者の関心は共演者との身長比較

    キムタクを縛り続ける《公称176cm》のデータ…「Believe」番宣行脚でも視聴者の関心は共演者との身長比較

  5. 5
    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

  1. 6
    「白鵬の弟子」押し付け合い勃発! あちこちから聞こえる師匠譲りの不穏な評判

    「白鵬の弟子」押し付け合い勃発! あちこちから聞こえる師匠譲りの不穏な評判

  2. 7
    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 8
    キムタク主演ドラマがまさかの1ケタ…“考察”慣れしすぎて王道スポ根が楽しめない?

    キムタク主演ドラマがまさかの1ケタ…“考察”慣れしすぎて王道スポ根が楽しめない?

  4. 9
    全国紙が全国紙でなくなる?「新聞販売店」倒産急増の背景…発行部数の激減、人手不足も一因に

    全国紙が全国紙でなくなる?「新聞販売店」倒産急増の背景…発行部数の激減、人手不足も一因に

  5. 10
    大谷は徹底した個人主義、思考回路も米国人…ゴジラ松井とはメンタリティーに決定的差異

    大谷は徹底した個人主義、思考回路も米国人…ゴジラ松井とはメンタリティーに決定的差異