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大高宏雄映画ジャーナリスト

1954年浜松市生まれ。明治大学文学部仏文科卒業後、(株)文化通信社に入社。同社特別編集委員、映画ジャーナリストとして、現在に至る。1992年からは独立系を中心とした邦画を賞揚する日プロ大賞(日本映画プロフェッショナル大賞)を発足し、主宰する。著書は「昭和の女優 官能・エロ映画の時代」(鹿砦社)など。

名画座でじわりと人気 往年の“バイプレーヤー”をもう一度

公開日: 更新日:

 都内の名画座が、相変わらずユニークな番組編成でしのぎを削っている。ファンにとっては、何を見たらいいか迷うほどだ。監督や俳優の特集、作品傾向に即した番組編成などは当たり前として、最近では往年の名脇役をメインにした作品上映も増えている。

 脇役俳優の特集のはしりは、シネマヴェーラ渋谷が2017年に始めた「名脇役列伝」あたりだろうか。そのとき、浪花千栄子と安部徹の特集が組まれたのには驚いた。昔では考えられなかったからだ。

 その勢いは、今年の伊藤雄之助と西村晃に引き継がれた。2人とも安部徹より役柄的な比重が大きい作品が多いが、こうなってくるとどんな脇役の上映が組まれても驚くことはない。

 思い出すことがある。1970年代に名画座のオールナイトで50年代、60年代の邦画を見まくっていたときのことだ。クレジットに出る主演俳優と同じように脇の俳優の名にも拍手が起こったのだ。それは個性的でアクの強い人に限られ、観客がどのような脇役が好きなのか一目瞭然だったのである。

 その時代の熱い思い入れが、数十年の時を経て彼らの単独の上映に結びついた気がしてならない。もともと脇役俳優は人気があったのだ。そのニーズがいまになって、ようやくかなえられるようになった。そんな思いが強い。

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