てれびのスキマ 戸部田誠
著者のコラム一覧
てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。「芸能界」というビジネスは、いかにして始まったのか。貴重な証言を収録した「芸能界誕生」(新潮新書)。伝説の番組「アメリカ横断ウルトラクイズ」を基に描く青春群像ノンフィクションノベル「史上最大の木曜日 クイズっ子たちの青春記」(双葉社)。2つの最新著が絶賛発売中!

一つ一つの“歯車”を最大限魅力的に見せる三谷幸喜の神髄

公開日: 更新日:

 劇団は大きくなっていったが、それをマネジメントするノウハウがなかったのだ。このままでは、せっかく実力のある役者たちがいるのに、生かし切ることができない。どうしようか悩んでいた三谷は発想を変えた。

「今が売りどきだ!」と。三谷は「今だったらいろんな事務所がもらってくれるんじゃないか」(フジテレビ「直撃!シンソウ坂上」19年9月19日)と考えたのだ。

 各劇団員に自分が入りたい事務所の希望を聞き、三谷はそれぞれの事務所に一緒に行ってマネジメントを依頼して回った。そこには、自分だけが売れても意味がない、という思いがあったのだという。今でも「一番信頼できる人たち」(同前)と愛情を隠さない。

 そうした三谷の思想は作劇にも表れている。「俳優さんがいいって言われるのは一番うれしいですね、演出家としては」(NHK「スタジオパークからこんにちは」13年10月25日)と言うように、三谷作品に出ている俳優は魅力的だ。

 作品には数多くの人物が登場するが、誰一人として見せ場がない役はいない。監督も脚本家も技術スタッフも俳優も、作品にとっては「歯車」のひとつにすぎない。けれど、それは絶対に欠かせない大事な歯車。それを最大限魅力的に見せるのが三谷作品の神髄なのだ。

「つまんない役を振られた俳優を思うと申し訳ないんですよ。とにかく、みんなにやりがいのある役、やりがいのあるシーンをつくるのが僕の仕事だとずっと思ってるんです」(「シンソウ坂上」=前出)

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    小室圭さん年収4000万円でも“新しい愛の巣”は40平米…眞子さんキャリア断念で暇もて余し?

    小室圭さん年収4000万円でも“新しい愛の巣”は40平米…眞子さんキャリア断念で暇もて余し?

  2. 2
    メジャー29球団がドジャースに怒り心頭! 佐々木朗希はそれでも大谷&由伸の後を追うのか

    メジャー29球団がドジャースに怒り心頭! 佐々木朗希はそれでも大谷&由伸の後を追うのか

  3. 3
    若い世代にも人気の昭和レトロ菓子が100均に続々! 製造終了のチェルシーもまだある

    若い世代にも人気の昭和レトロ菓子が100均に続々! 製造終了のチェルシーもまだある

  4. 4
    巨人にとって“フラれた”ことはプラスでも…補強連敗で突きつけられた深刻問題

    巨人にとって“フラれた”ことはプラスでも…補強連敗で突きつけられた深刻問題

  5. 5
    長渕剛の大炎上を検証して感じたこと…言葉の選択ひとつで伝わり方も印象も変わる

    長渕剛の大炎上を検証して感じたこと…言葉の選択ひとつで伝わり方も印象も変わる

  1. 6
    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  2. 7
    「監督手形」が後押しか…巨人入り目前から急転、元サヤに収まった真相と今後

    「監督手形」が後押しか…巨人入り目前から急転、元サヤに収まった真相と今後

  3. 8
    東京15区補選は初日から大炎上! 小池・乙武陣営を「つばさの党」新人陣営が大音量演説でヤジる異常事態

    東京15区補選は初日から大炎上! 小池・乙武陣営を「つばさの党」新人陣営が大音量演説でヤジる異常事態

  4. 9
    高島彩、加藤綾子ら“めざまし組”が大躍進! フジテレビ「最強女子アナ」の条件

    高島彩、加藤綾子ら“めざまし組”が大躍進! フジテレビ「最強女子アナ」の条件

  5. 10
    「救世主にはなり得ない」というシビアな見方…ピーク過ぎて速球150キロ超には歯が立たず

    「救世主にはなり得ない」というシビアな見方…ピーク過ぎて速球150キロ超には歯が立たず