人形町「喫茶去快生軒」赤いソファーに木のテーブルで蘇る高校時代の思い出
腹もできて英気を養ったアタシは、せっかくだから人形町を少し歩くことにした。
熱中症には気を付けなければと思いながらも、ゴルフのときはへっちゃらで棒切れを振り回す還暦男。甘酒横丁の路地裏を徘徊しながら明治座あたりまで行くと気が付くことがある。
それは無粋なデカいビルが少ないこと。目立つのはURの高層マンションとロイヤルパークくらい。ま、そこは水天宮前だから百歩譲るとして、浜町の明治座ビルはちょっとね。
人形町通りと甘酒横丁を中心としたエリアは昔ながらの店が、外観を変えずに内装とメニューだけを客のニーズに合わせて営業している。そんな店を見ると、人形町という街の雰囲気と品位を守るための努力がうかがえる。だから外国人観光客や老若男女が引きも切らず通ってくるのだ。
が、最近はあふれた客まで残らずすくい取ろうというもくろみなのか、人形町交差点に無粋な飲食専門のビルができてアタシとしてはちょいと興ざめだが。
小一時間ほど散策し、歩き疲れたので「快生軒」でひと休みしよう。今ではすっかり減ってしまった昔ながらの喫茶店。アタシたちが高校生の頃はそこら中に個人経営の喫茶店があった。授業をさぼってたばこを吸いに行く店も高校の近くに数軒あったが、今ではほとんど廃業してしまった。そんな昭和の喫茶店の雰囲気をそのまま残しているのがここ、快生軒だ。