渥美清<前編>“飴屋横丁”で働き身につけた寅さんの売り口上

公開日: 更新日:

 松倉さんが渥美を初めて見たのは、高校を卒業して、劇場経営する父親を手伝い始めたころだった。

「四角いごつごつとした顔に刃物のように細い目が印象的でした。イケメンとはいえないけれど、声はやたらいい。テキ屋ふうの語りをして、頭がいいからアドリブもすごい。客からのヤジにも動じないし、切り返しがうまくて客席を沸かせるんだ」

 当時の浅草フランス座は、座付きの作家が10日のスパンで出し物を変えていたが、台本が間に合わないこともあった。役者は台本を覚えられず、プロンプター役の人間が舞台袖からセリフを伝えることもザラだった。そんなときも渥美は指示を無視して、アドリブ対応していたほどだ。

「客のイジリも最高だったね。当時は舞台の半分がストリップで、残り半分を芝居で構成していたから、芝居はどうでもいいって客は多かった。でも、彼はプライドがあったからしゃくに障るって、ストリップが終わって弁当広げる客を見ていじって、それがウケたり。ものまねもできるし、あんな役者はいないね」


 映画の寅さんは、下町育ちのテキ屋で風来坊だったが、松倉さんは「地で行ってたね」と笑う。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  2. 2

    愛子さまが8月に伊勢神宮「式年遷宮」視察へ 将来は「祭主」を継ぐ可能性も

  3. 3

    検察組織は落ちるところまで落ちた 東大法卒の「特捜部エース」が“ヒモ”とは…世の中真っ暗闇

  4. 4

    三山凌輝「裏切り愛」でも愛娘・趣里に離婚を勧められない水谷豊&伊藤蘭の悲痛

  5. 5

    眞鍋かをり「愛子天皇待望論」は“陰謀論”発言が波紋…高学歴タレントコメンテーター生き残りの厳しい現状

  1. 6

    「ブルーカラー・ビリオネア」には到底なれない…60代の元ブルーカラーは今無職

  2. 7

    来春の統一地方選の争点は「皇室典範」再改正で決まり 高市内閣支持率急落で野党にも一筋の光明

  3. 8

    文春が報じた中居正広「性暴力」の全貌…守秘義務の情報がなぜこうも都合よく漏れるのか?

  4. 9

    一番驚いているのは自民に入れた有権者 「数の力」をなぜ、こんなバカげたことばかりに使うのか

  5. 10

    今夏の専大松戸の継投策が「エース→2番手」ではなく「2番手→エース」の理由…いざ千葉県大会決勝へ