著者のコラム一覧
大高宏雄映画ジャーナリスト

1954年浜松市生まれ。明治大学文学部仏文科卒業後、(株)文化通信社に入社。同社特別編集委員、映画ジャーナリストとして、現在に至る。1992年からは独立系を中心とした邦画を賞揚する日プロ大賞(日本映画プロフェッショナル大賞)を発足し、主宰する。著書は「昭和の女優 官能・エロ映画の時代」(鹿砦社)など。

菅田×小松「糸」のヒットは必然?“歌謡映画”から読み解く

公開日: 更新日:

 菅田将暉小松菜奈主演の「糸」がヒットしている。最終の興収で15億円以上が狙える。この時期にたいしたものだ。

 中島みゆきの楽曲「糸」からインスパイアされた作品である。映画を見ながら、ある思いがよぎった。これは昔懐かしい歌謡映画の範疇(はんちゅう)に入る作品ではないのかと。

■1960年代に風靡した歌謡映画 人気の歌謡曲×人気の役者

 歌謡映画とは、日本映画の伝統的な一ジャンルで、当時人気の歌謡曲をタイトルにして映画化した。主題曲が公開後にヒットした作品もある。中島みゆきの「糸」は、純然たる歌謡曲とはいえないかもしれないが、タイトルに採用し、そこから話を展開させるのは往年の歌謡映画と同じスタイルである。ヒットの理由が、まさにこの歌謡映画にあると思った。

 歌謡映画が華やかだったのは1960年代だろう。日活作品が多かった。歌手名とタイトルを思いついた範囲で年代順に数本だけ挙げてみる。

・坂本九の「上を向いて歩こう」(62年)
・西田佐知子の「アカシアの雨がやむとき」(63年)
吉永小百合の「愛と死をみつめて」(65年)
・園まりの「逢いたくて逢いたくて」(66年)
・西郷輝彦の「星のフラメンコ」(66年)
・舟木一夫の「絶唱」(66年)
石原裕次郎の「夜霧よ今夜も有難う」(67年)

 今ではピンとこない人も多いだろうが、60代以上の御仁ともなれば、すぐにでも口ずさめる歌ばかりだ。各作品では石原裕次郎、浅丘ルリ子、吉永小百合、渡哲也、浜田光夫らが主役クラスを演じ、歌手本人が主演、出演するケースもあった。



 中身は様々だが男女の恋愛ドラマを描くことが多い。青春映画に定評のあった日活の甘いタッチの作風が若者向けの歌謡映画にフィットした。

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