著者のコラム一覧
細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

山口洋子は東映ニューフェイスからヤクザの愛人に…

公開日: 更新日:

《「箱根に連れていってやろうか」

 桐島に言われたのは、一週間ほど前である。

 箱根、嬉しい、ほんと? と私は手をたたいて喜んだ。(中略)

 桐島はやくざであった。渋谷一帯で近ごろのしあがってきた新興の“インテリやくざ”と呼ばれる桐島組の組長である》(「半ダースもの情事 ロマン傑作集」に収録「情婦――おんな」山口洋子著/光文社文庫)

 この「桐島」のモデルは、安藤組組長から俳優に転じた安藤昇である。洋子は当時、安藤の愛人だったのだ。安藤が実業家の横井英樹襲撃事件(1958年)に関与し、警察に追われると、洋子は当時住んでいた代々木のアパートにかくまっている。後年、クラブママ、人気作詞家、直木賞作家になりおおせた洋子に、過去の後ろ暗さはまるでなく、2人で週刊誌で対談したり、紙面で互いの本の書評をし合うなど、交友は生涯続いた。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「マラソン」と「大腸がん」に関連あり? ランナー100人への調査結果が全米で大きな波紋

  2. 2

    巨人FA捕手・甲斐拓也の“存在価値”はますます減少…同僚岸田が侍J選出でジリ貧状態

  3. 3

    高市総裁「首相指名」に漂う不安…自民党内は“厭戦ムード”も燻る火種、飛び交う「怪文書」の中身

  4. 4

    秋季関東大会で横浜高と再戦浮上、27連勝を止めた「今春の1勝」は半年を経てどう作用するか

  5. 5

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  1. 6

    高市自民、公明からの三行半で早くも本性露呈…「やられたら秒でやり返す」「イキらなきゃ負け」のオラオラ体質

  2. 7

    出来たとしても高市政権は短命…誰も見通せない激動政局の行方を徹底分析(前編)

  3. 8

    佐川宣寿元理財局長のメール開示「遺族と話し合う」…森友文書で加藤財務大臣が明言

  4. 9

    進次郎氏落選もダメージなし? 妻・滝川クリステルが目指した「幸せ家庭生活」と耳にしていた夫の実力

  5. 10

    侍J井端監督 強化試合メンバー発表の裏に「3つの深謀遠慮」…巨人・岡本和真が当選のまさか