著者のコラム一覧
細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

飯野矢住代誕生秘話<24>俳優Iとの間に結婚話が一度も出なかった理由

公開日: 更新日:

「姫」のマダム、山口洋子が後年、飯野矢住代に辛辣だったことはすでに述べた。自伝によると「最後に会った」のは1971年の夏ということになっている。

《そのときはもう「姫」には居なくて、金でがんじがらめになりながら、あちこちの店を転々としていた。当の本人が数日前、どうした加減かひょっこり朝顔市で買った鉢をぶら下げて店に現れた。お中元のかわり、ママにはいろいろお世話をかけたからと、かたい蕾に小さな風鈴のついた鉢をとんと眼の前に置いた。(中略)藍染に蜻蛉の柄の浴衣を着ていた》(「ザ・ラスト・ワルツ『姫』という酒場」山口洋子著/文春文庫)

 いかにも、直木賞作家・山口洋子らしい筆致と言うしかないのだが、「週刊平凡」によると、1971年の11月から12月にかけて、矢住代は母の見舞いに行きながら「姫」にも出勤していたとある。母の入院は11月。費用は当然、矢住代が捻出したはずだ。秋の時点で「姫」に在籍していたと考えるべきかもしれない。山口洋子は事実を述べたわけではなさそうだが、矢住代が「金でがんじがらめ」になっていたのは、遠からず間違っていないのかもしれない。入院費とは思いのほか高くつくものである。

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