著者のコラム一覧
ラサール石井参議院議員

1955年生まれ。大阪市出身。渡辺正行、小宮孝泰と結成したお笑いトリオ「コント赤信号」で人気に。声優、俳優、司会者、脚本家、演出家、コラムニストとして活躍。第23回読売演劇大賞優秀演出家賞受賞。2025年、参院選に社民党から立候補し当選。副党首に就任。

立川談志と柄本明に共通する、楽に生きられない狂気と愛

公開日: 更新日:

 期せずして同じ日に2本のドキュメンタリーを見た。フジテレビの「ザ・ノンフィクション」。立川談志師匠が亡くなるまでの12年間を息子さんが記録した動画で構成された「切なくていじらしくてメチャクチャなパパ~家族が映した最期の立川談志~」、そして柄本明さんの「情熱大陸」だ。

 どちらにも何か同じ匂いを感じたのは続けて見たせいだろうか。2人とも落語家、俳優、共に演者であるという共通点以外に「楽に生きない」というか「生きられない」人なんだなあ、と思ったのである。

 我々凡人ならば、ある程度のキャリアに達すれば、後は楽に仕事を選んで楽に老いて淡々と暮らしていくのが普通であるが。どうもそれでは済まない。

 強烈な現状否定。常に己と葛藤し、自己の美学を追求する。

 談志師匠が晩年に夫婦喧嘩の末に1年も別居し、弟子も置かずに掃除もおぼつかない散らかった古マンションに独り暮らししていたとは知らなかった。

 そこでも自らカメラを回し自撮りで語りかける執念。全裸でカップ麺をすすり、老いを嘆く姿は、まさに鬼気迫る。常に落語と格闘し、既存の落語を壊してきた。そこに「江戸の風が吹けば」それが落語だ、という境地。「枯れた落語」を軽蔑する自分が枯れていく恐怖。しかし先代文楽のように引退はせず、最後まで己の惨めさまでさらしてしまおうとあらがう。

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  2. 2

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  3. 3

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  4. 4

    片山さつき財務相の居直り開催を逆手に…高市首相「大臣規範」見直しで“パーティー解禁”の支離滅裂

  5. 5

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  1. 6

    小林薫&玉置浩二による唯一無二のハーモニー

  2. 7

    森田望智は苦節15年の苦労人 “ワキ毛の女王”経てブレーク…アラサーで「朝ドラ女優」抜擢のワケ

  3. 8

    臨時国会きょう閉会…維新「改革のセンターピン」定数削減頓挫、連立の“絶対条件”総崩れで手柄ゼロ

  4. 9

    阪神・佐藤輝明をドジャースが「囲い込み」か…山本由伸や朗希と関係深い広告代理店の影も見え隠れ

  5. 10

    阪神・才木浩人が今オフメジャー行きに球団「NO」で…佐藤輝明の来オフ米挑戦に大きな暗雲