著者のコラム一覧
細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

五木ひろしの光と影<24>「平尾センセ、『姫』の山口洋子さんってどんな人だった?」

公開日: 更新日:

 73年の五木ひろしは3月にリリースした「霧の出船」が思うように伸びず、7月に満を持して新曲「ふるさと」(作詞・山口洋子/作曲・平尾昌晃)をリリース。2007年のNHK連続テレビ小説「ちりとてちん」で貫地谷しほり演じるヒロインの母(和久井映見)の愛唱歌という設定で何度も流れた。また、香西かおりもこの曲をカバーしている。

 評判は上々でヒットチャートはじわじわ上がっていった。有線でも上位を走った。しかし、所属事務所の社長である野口修は不満だった。

「いい曲なんだけど、なんかこう、世間を巻き込むパワーがなかった」

 作曲を手掛けた平尾の見方は、作り手ならではのものである。

「『ふるさと』は僕にとって自信作。洋子ちゃんの詞の並びもよくて、五木君は最高にうまい……。うますぎたかもね。それがこの曲を名曲にはしたけど、いわゆる大ヒット曲にはしなかった一番の理由かもしれない」

 このままいけば、順当に沢田研二の「危険なふたり」が73年度の日本レコード大賞を獲得することになる。野口修、山口洋子ともに、焦りはピークに達していた。(つづく)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    農水省ゴリ押し「おこめ券」は完全失速…鈴木農相も「食料品全般に使える」とコメ高騰対策から逸脱の本末転倒

  3. 3

    TBS「ザ・ロイヤルファミリー」はロケ地巡礼も大盛り上がり

  4. 4

    維新の政権しがみつき戦略は破綻確実…定数削減を「改革のセンターピン」とイキった吉村代表ダサすぎる発言後退

  5. 5

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  1. 6

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  2. 7

    粗品「THE W」での“爆弾発言”が物議…「1秒も面白くなかった」「レベルの低い大会だった」「間違ったお笑い」

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  5. 10

    巨人阿部監督の“育成放棄宣言”に選手とファン絶望…ベテラン偏重、補強優先はもうウンザリ