元日劇ミュージックホールのトップダンサー吉元れい花さんは刺繍作家に 2年前には岡本太郎賞を受賞

公開日: 更新日:

「刺繍もダンスも同じ命の躍動です」

 さて、れい花さんは大阪で育ち、中学時代に見た劇団俳優座の「森は生きている」に感動、東京の桐朋短大演劇科に進み、千田是也や安部公房らの教えを受けた。卒業後はダンサーになろうと決意、日本モダンダンス界の第一人者アキコ・カンダに師事した。

「3年間、寝ても覚めてもダンス漬け。下宿に帰っても稽古をしていたので、友だちが訪ねて来た時、ボロボロにすり減った畳を見て驚いてました」

 日本テレビのプロデューサーだった井原高忠に見いだされ、高級レストランシアター「赤坂コルドンブルー」で1年間踊った後、25歳でNMHに引き抜かれ、トップダンサーとなった。在団中は池田満寿夫や蜷川幸雄、佐藤信らの演出を受けた。

「ショートカットに172センチの身長なので中性的に見えたのか、宝塚ファンの女性が次々と見に来て。でも司会のトニー谷さんが『れい花に色気があったら鬼に金棒なんだけど』とおっしゃって。『これを見て勉強しなさい』とプレゼントしてくれた、見返り姿の日本人形は今も大切にしています。休暇中もニューヨークのアルビン・エイリー・ダンスカンパニーで修業をしたり、体中の細胞が爆発しそうなくらい、毎日踊っていました。今、刺繍をやっていても『表現の神髄は肉体に在る』と信じているのは、この頃の体験がベースになっています」

 NMH解散の後、バロン氏と結婚した。

「バロンさんは私の表現活動の最大の理解者。彼と結婚したから気持ちはずっと踊り子のままでいられる。日本の踊り子の元祖は古事記のアメノウズメ。彼女は全裸で踊ることで天岩戸を開けて世界の光を取り戻した。私も肉体をさらけ出し踊ることこそが至上の美だと、レビューの世界に飛び込みました。刺繍もダンスも命の躍動。世界は戦争が絶えないけど、日本はアメノウズメが開けた光の扉を閉めることなく、平和の国でいてほしいと思います」

(取材・文=山田勝仁)

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    本命は今田美桜、小芝風花、芳根京子でも「ウラ本命」「大穴」は…“清純派女優”戦線の意外な未来予想図

  1. 6

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  2. 7

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  3. 8

    石破首相続投の“切り札”か…自民森山幹事長の後任に「小泉進次郎」説が急浮上

  4. 9

    今田美桜「あんぱん」44歳遅咲き俳優の“執事系秘書”にキュン続出! “にゃーにゃーイケオジ”退場にはロスの声も…

  5. 10

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃