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てれびのスキマ 戸部田誠ライタ―

1978年生まれのテレビっ子ライター。最新著「王者の挑戦『少年ジャンプ+』の10年戦記」(集英社)、伝説のテレビ演出家・菅原正豊氏が初めて明かした番組制作の裏側と哲学をまとめた著者構成の「『深夜』の美学」(大和書房)が、それぞれ絶賛発売中!

50代まで舞台一筋 かわいらしさと色気を生み出す吉田鋼太郎の「率直さ」

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 そんな演劇人生を歩んできた吉田だが、実は20代の頃にテレビドラマにも出演したことがあった。エキストラではなく、ちゃんと役付き。ワクワクして演じたが、オンエアを見ると後頭部しか映っていなかった。「ふざけんなと思ったんですよ。もう嫌だと。こんなことされるんだったら、俺はもうテレビなんか出ねぇぞって思っちゃった」(日本テレビ系「おしゃれイズム」14年12月7日)

 その意識を変えたのが、蜷川の舞台で共演した小栗旬だった。小栗は「テレビに出ろ」「映像に出なきゃダメ」「名前を売らなきゃ」と吉田に繰り返し諭した。そして10年、「絶対、僕が悪いようにしないから」と説得され、小栗の監督映画「シュアリー・サムデイ」に出演。そこで映像の世界の面白さを知った吉田は、積極的に映像作品に出ることとなり、14年のNHK朝ドラ「花子とアン」などで、55歳にして世間的なブレークを果たすのだ。

 冒頭の番組で吉田は、意識している俳優を聞かれ、「言いたくはないですけど」と言いつつ、役所広司を挙げた。特別仲が良かったりしない限り、同年代で同系統に見られているような人の名前を出すことはなかなかできない。けれど、吉田は率直にそう答え、日本アカデミー賞を何度も受賞していることをちゃめっ気たっぷりに悔しがる。

 そんな率直さが可愛らしさと色気を生んでいるに違いない。

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