そのさじ加減は極めて属性が高く、一子相伝的であると田辺は考えていた。ぼくは今回、拙著を約9年間かけて執筆し、田辺の他、ホリプロの堀威夫、安室奈美恵を育てたライジングプロダクションの平哲夫と沖縄アクターズスクールのマキノ正幸、B'z、ZARD、BOØWYを見いだしたJポップの首領・ビーイング長戸大幸、そして元吉本興業会長の大崎洋。問いはなかなか尽きず、取材はいつも長時間となった。
こうした男たちが、この世を去りつつある。おどろおどろしく、人間くさい、ザ・芸能界は本当の終わりに近づいているのかもしれない。彼らの言葉を残せた幸運を噛みしめている。