長渕剛がヤクザの英二で“硬派路線”へ

公開日: 更新日:

 それでもこの作品が“硬派ナガブチ”を決定づけたのは間違いない。そして何より彼自身が今日までずっと“英二”にとりつかれているようにも思える。

「とんぼ」と同クール、フジテレビ系では田村正和(当時45)主演の「ニューヨーク恋物語」、三上博史(当時26)主演の「君が嘘をついた」など恋愛ドラマが並んでいた。スパークリングワインの広告で「イブの夜を一緒に過ごす男が、今年のマン・オブ・ジ・イヤーです」みたいなコピーもあった時代だ。そんな“恋愛至上主義”の中で「♪東京のバカヤロー」と叫んでいた「とんぼ」は、異質な輝きを放っていた。

 当時駆け出しのテレビ誌記者だった僕は、竹橋の毎日放送東京支社から赤坂のTBSへ、「野生の王国」などの番宣原稿を届けるハイヤーに何度か便乗したことがある。毎日新聞の旗をなびかせた黒塗りの車の中から見えたのは、三宅坂を越えた内堀通りに、各局のSNG車両が並んでいた光景。そう、“昭和のXデー”に備えた張り付きだった。

 ……あの秋、テレビの中にはさまざまな“男たち”がいた。木曜の夜はNYで田村正和がしゃれた色気を見せ、金曜には長渕が怒りをぶつけ、CMでは時任三郎が「24時間戦えますか」と問いかけていた。そして水曜夜のテレビ東京系では、光GENJIの「あぶない少年」を継いで、あの6人の少年が本人役でドラマデビュー。昭和の終わりと、次の時代への予兆がブラウン管の中で交錯していた。

(テレビコラムニスト・亀井徳明)

【連載】あの頃、テレビドラマは熱かった

■関連キーワード

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    不慮の事故で四肢が完全麻痺…BARBEE BOYSのKONTAが日刊ゲンダイに語っていた歌、家族、うつ病との闘病

  2. 2

    「対外試合禁止期間」に見直しの声があっても、私は気に入っているんです

  3. 3

    箱根駅伝3連覇へ私が「手応え十分」と言える理由…青学大駅伝部の走りに期待して下さい!

  4. 4

    「べらぼう」大河歴代ワースト2位ほぼ確定も…蔦重演じ切った横浜流星には“その後”というジンクスあり

  5. 5

    100均のブロッコリーキーチャームが完売 「ラウール売れ」の愛らしさと審美眼

  1. 6

    「台湾有事」発言から1カ月、中国軍機が空自機にレーダー照射…高市首相の“場当たり”に外交・防衛官僚が苦悶

  2. 7

    高市首相の台湾有事発言は意図的だった? 元経産官僚が1年以上前に指摘「恐ろしい予言」がSNSで話題

  3. 8

    AKB48が紅白で復活!“神7”不動人気の裏で気になる「まゆゆ」の行方…体調は回復したのか?

  4. 9

    大谷翔平も目を丸くした超豪華キャンプ施設の全貌…村上、岡本、今井にブルージェイズ入りのススメ

  5. 10

    高市政権の「極右化」止まらず…維新が参政党に急接近、さらなる右旋回の“ブースト役”に