著者のコラム一覧
増田俊也小説家

1965年、愛知県生まれ。小説家。北海道大学中退。中日新聞社時代の2006年「シャトゥーン ヒグマの森」でこのミステリーがすごい!大賞優秀賞を受賞してデビュー。12年「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」で大宅壮一賞と新潮ドキュメント賞をダブル受賞。3月に上梓した「警察官の心臓」(講談社)が発売中。現在、拓殖大学客員教授。

「時代に挑んだ男」加納典明(68)何を想像し、何を思うか。それがオリジナリティになり、人生を大きく変える

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自身を持て! 本物の自我を出せ!

加納「類型であること自体は悪いことではない。でも自分の過去に対して『ああすればよかった』『こうすればよかった』と思うことはやめたほうがいい。理想や願望は、一生消えない。だけど、その理想とのギャップに囚われすぎても意味がない。大事なのは、今の現実の中で、どれだけ“人間ごっこ”をプロフェッショナルにできるかどうかなんだ」

増田「人間ごっこですか。面白いですね」

加納「人間というのは、いくらでも言い訳はできるし、それを正当化する言葉も無限にある。でも、大切なのは『立体的に生きているかどうか』なんだよ」

増田「出世のことだけ考えてる人間とか」

加納「そう。そういうのはステージが低い生き方なんだよ。歳をとればそれが如実に見えてくる。若い頃のようなパワーはなくなるけども、その中で自分の芯がぶれていないかどうか。それがぶれたら、自分ではなくなってしまう。つまり、他人の人生を生きることになってしまう。だからこそ出世したいとか、そういう小さな目的ではなくて自分を高めることを目的とした人生であってほしい」

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