「時代に挑んだ男」加納典明(68)何を想像し、何を思うか。それがオリジナリティになり、人生を大きく変える
増田「北海道大学の前身、札幌農学校の校長だったウィリアム・スミス・クラーク博士はそれを“高邁なる野心”と呼んでますね。有名なボーイズ・ビー・アンビシャスという言葉になっています」
加納「いい言葉だね。礼儀、家族、友人、仕事……すべて含めて、結局は自分で作った環境です。その環境とどう向き合うか。自分がどういう関係を築いているのか、きちんと把握し、確認し、自覚することが必要。だから、俺は『中年よ、自身を持て』と言いたい。もっと本物の自我を出せ。組織内で出世したいとかチヤホヤされたいとかいう小さな自分、自分の弱さに打ち克たなくては。そうやって生きていくうちに、また新しい自分が見えてくる。毎日、自分という“服”を脱ぎ捨てて、新しい服を着るように、自分をアップデートし続けることが大事だ」
増田「毎日服を脱ぎ捨てるようにというのが素晴らしい表現です」
加納「働き盛りの人たちって、本当に夢中になっているのかって思うんだよ。夢中になれる度合いというか、夢中度みたいなもの。それが極端に高くてもいいと思う。だから、もっと夢中になれと。自分の中に、社会と関わることで面白いものがあるはずだから、それをもっと探れって言いたい。時代とか日本の状況なんて、自分の中で半分くらいの要素でいいんだよ。あとの半分は、何を想像するか、何を思うか、何を空想するか。それがオリジナリティになるんだ。そういうものがあるかないかで、人生は大きく変わると思う」


















