紙上再録「TAMORI80~勝手にタモリ80歳大生誕祭!!」(2)

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「認められたい」という野心は絶対にあった

戸)皆さん、ご存じだと思うんですけど。タモリ発見のエピソード。(ジャズピアニストの)山下洋輔の泊まっていたホテルに乱入して、才能が見初められるっていう。

ス)まだ、アマチュアのタモリが、ライブツアーで福岡に来ていた山下洋輔一行が、ホテルの部屋で乱痴気騒ぎ。デタラメ歌舞伎をやっていたり。

戸)その場に入っていって、そのままデタラメ歌舞伎を演じるっていう。ですけど、結構、諸説いろいろあって。誰かが乱痴気騒ぎしている中に入っていったって言うんですけど、きっと知ってますよね、山下洋輔グループが、そのホテルに居たっていうことは。

ス)タモリがね。

戸)そもそも、そのホテルにタモリがいたのは、(サックス奏者の)渡辺貞男のマネジャーとタモリが友人で、一緒に飲んでいたんです。山下洋輔と渡辺貞夫のコンサートに行っていたから、山下洋輔がいることは知っていたはず。きっとですね。そこからデビューしようっていうほどの気持ちがあったかは分かんないけど、ある程度、認められようみたいな。そういう野心は、絶対あったと思うんですよ。

ス)あったでしょうね。

戸)諸説の中では、事前に挨拶もしていたっていう説もあったり。「森田です」と言い残して、すぐ帰ったみたいなことになっていますけど、実は翌日に福岡を案内してるとか、そういう話もあったり。それらを総合して考えると、恐らく突然入っていったのは事実だと思うんですけど、ジャズ界隈の人たちが、タモリというものを、みんなで作り上げたんだろうなと。そういう伝説を作ったんだろうと思うんですよね。それって、すごく「THE芸能」って感じがして。結構、そことは縁遠いイメージのあるタモリさんですけど、実は「THE芸能」的な生まれ方をしてるんだっていう。

樋)大丈夫、大丈夫。それぐらいの曲解というか、色付けはOK。だって、(映画の)「ボヘミアン・ラプソディ」だって、フレディ・マーキュリーが、それまで全然クイーンを知らなかったのに、いきなり自分から売り込んで、ある日突然メンバーに入ったみたいな描かれ方をしているじゃないですか。実は、その前からメンバーとは顔なじみだったのに、いつの間にか、それが伝説になっている。全然OKです。

戸)それが、すごくいいなと思うんですよね。

ス)自分から売り込んだって話だったかもしれないけども、自然に入ってきて、自然にセッションしたっていう方が、タモリっぽいじゃないですか。

戸)そういうイメージをうまく作り上げたっていうのが、すごくいいし、それに応える才能もあったっていうことだと思います。

ス)いやースキマさんの素晴らしい話。拍手をお願いします。

(会場、拍手)

■「タモリと知性」という問題

ス)「新しい戦前」という発言も、あれアドリブですかねえ。

今)アドリブでしょうねえ。もっともらしいことを言って。でも、1992年の「講演大王」(日本テレビ系)で、単にアドリブで話していたこと(註:排他主義が横行するメカニズムの説明)が、三十数年後の日本には現実に起こってしまう。タモリさんはなんかこう、預言者っていうか、神がかっているところがありますね。

樋)本当に。いつもどれだけ本を読んでいるのかなと思いますよね。「いいとも!」の楽屋でも、本がいっぱい積んであるみたいな。タモリさんでも、たけしさんでも、ちゃんと勉強してるのが、すごい重要。芸人になったら勉強をやめちゃう奴。女と酒に向かっていくような奴って、全く尊敬しないんだよなぁ。

ス)どっかから変わりましたよね。勉強してるとか、頭がいいとか、モノを知ってることは絶対カッコいいはずなのに、それが平成のどの時点からか、カッコ悪くなっていって。バカはバカのままでいい。頭のいい人も、バカのフリをするようになっていったじゃないですか。特にテレビのバラエティーが。嫌だったんですよね。

今)でも、最初に知性を否定しにかかったのも、タモリさんなんですね。70年代後半とかね。

ス)ですよねえ。なんでしょう、これは? 「タモリと知性」。

樋)世代もあると思いますよ。だって、たけしさんもよく言っていましたけど、(映画監督の)ゴダールとか、フェリーニとかの作品を見ていないといけない。教養、素養として。

ス)団塊の世代の一つ上ですもんね。

樋)「難しければ難しいほどいい」っていう世代が、ある時期まであって。ところが、80年代ぐらいから、今度は分かりやすければ、分かりやすいほどいいっていう風に反転していく。これはね、致し方ないことかもしれないなとは思いますけどね。

ス)そういう時代の中で、馬鹿の方が、軽薄の方がカッコイイってなったけれども、でも、結論として、やっぱり、たけしもタモリもすごい勉強している。

後編につづく)

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