俵万智の短歌90首を朗読し、歌い、演じる女優・秋吉久美子さんに聞いた「戦争と平和」の思い
11月6、7日に東京・新宿文化センター・小ホールで上演される椿組番外公演「“ことば”の音楽会」は「平和への想いを込めて」という副題がついた舞台。この中で俵万智の短歌90首を朗読し、歌い、演じる秋吉久美子さんに「戦争と平和」の思いを聞いた。
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──出演するきっかけは?
「椿組代表の外波山文明さんからオファーを頂いたのですが、実は私が大学受験に失敗して福島で浪人生活を送っている時に見たのが椿組の前身の『はみだし劇場』だったんです。偶然、隣の席が座付き作家の内田栄一さんの奥さん。その時、松竹映画の『旅の重さ』に出たことを話すと、『東京に来ればあなたならCMの仕事もすぐ入るわよ』というひと言で上京し、結局、ずっとマネジャーも務めてくださって。だから、芸能界に入るきっかけは外波山さんだったともいえます」
──半年後にはCMはもちろん、何本も仕事を掛け持ちするくらい多忙になりますね。
「当時はフーテンとかヒッピーとか言われる、既成の価値観にしばられない自由な若者文化が世界中で流行していて、私も仕事の合間に、劇団のチケットのもぎりを手伝ったり、自分が楽しいと思うことを見つけていました。でも、酒場で仲間同士が自説をケンカ腰で言い合う姿を見るのは嫌なので、自然と新宿からは離れましたね。私は集団や派閥やイデオロギーといった、人を大きく束ねるのが嫌いで、右にも左にも真ん中にも、どこにも属したくない。戦争もそういった集団の空気によってどんどん進んでいくような気がします」
──早熟な文学少女だった。
「中学生の時に性愛小説の『チャタレイ夫人の恋人』を読んでいましたから。それも授業中。机の下で読んでいたら、それがどんどんズレ上がって、机の上に。先生に取り上げられましたが、何も言わずに返してくれました。文学もそうですが、哲学にも興味があって、高校生の時に、先輩たちが、哲学の祖となるソクラテスを知らないまま学生運動でマルクスを語ることに疑問を持っていました。50歳を過ぎて早大大学院の公共経営研究科に入ったのも改めて政治学を勉強したかったからです。ソクラテスを継承したプラトンの国家論では、民主制は衆愚政治に陥りやすく、為政者が大衆を扇動して独裁制に行きつく危うさを持つと説いています。日本を含めて、今の世界は紀元前のプラトンの国家論と同じ道をたどっているような怖さを感じます」
──立体朗読劇と銘打っていますが。
「単なる朗読劇ではなく、時代背景やその中で懸命に生きてきた女性たちの姿を重ね合わせたもので、戦後から現在まで、短歌を通した一人の女性の変遷です」
──強く響いた短歌は?
「“まだ恋も知らぬ我が子と思うとき『直ちには』とは意味なき言葉”という短歌は、東日本大震災の時に『放射能の影響は直ちに人体に影響はない』という政府の発表を歌ったものですが、子を持つ母の深い心情が表れていると思います」


















