「勝ち筋」「ボトルネック」「ナラティブ」…賢く見える満足感も、日常会話で使わないビジネス用語にハマる魔力
ビジネス記事を読んでいると、しばしば「聞いたことがない単語」に出くわす。いや、正確には、聞いたことがないというより、日常会話ではまず使わない単語だ。タイトルで読者の目を引くためのテクニックなのだろうが、それにしても……というのが、自然な反応ではないだろうか。
最近よく目にするのが「解像度を上げる」「勝ち筋」「チョークポイント」あたりだ。「解像度を上げる」は、物事をより具体的に理解すること。「勝ち筋」は勝利に至る道筋。「チョークポイント」は急所・要衝。どれも言いたいことは分かる。分かるのだが、なぜ普通に「詳しく分析する」「勝つための方法」などと書かないのか。
もちろん、専門用語として使うこと自体に問題はない。ただ、ビジネス記事では、専門性を表現するためというより、普通の言葉で済むところに、わざわざトレンドワードを持ち込んでいるように見えるケースが少なくない。
■「ブルーオーシャン」から「センターピン」へ
少し前まで、ビジネス記事で幅を利かせていたのが「ブルーオーシャン」「アジェンダ」「レバレッジ」「コミット」などだ。カタカナ語に限らず、「打ち手」「転換点」「潮目」「足元」なども頻繁に登場する。
政界発の言葉として存在感を増しているのが「センターピン」だ。ボウリングの先頭のピンに由来し、そこを倒すことで全体を動かす、最も重要なポイントを意味する。日本維新の会などの政治家が使い、ビジネスの世界にも広がっている。「一丁目一番地」も、いまやビジネス用語として定着しつつある。
この種の言葉を使いたがる政治家といえば、小池百合子東京都知事を忘れてはならない。一時期は「アウフヘーベン」「ワイズスペンディング」「レガシー」「パラダイムシフト」など、次々と話題の言葉を繰り出していた。
こうした流行語は、ビジネスの世界に限らない。サッカーでは「インテンシティ」「デュエル」「トランジション」「アジリティ」「ポリバレント」、野球では「メカニクス」「出力」「再現性」などが使われる。「アジリティ」はビジネス記事にも登場し、組織が変化に素早く対応する能力を指す。


















