著者のコラム一覧
碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

森川葵&城田優の「文学処女」 2人の恋愛はこれからが佳境

公開日: 更新日:

 いかにも今どきだなあと思う。森川葵&城田優のダブル主演「文学処女」(毎日放送制作、TBS系)の原作は中野まや花の同名漫画(絵が美しい)。しかし、この作品は書店で売られていない。ネットだけで読める「LINEマンガ」として、初めてのドラマ化なのだ。

 ヒロインの月白鹿子(森川)は文学少女のまま成長した26歳。初恋の相手も小説の主人公で、恋愛経験はまったくない。

 出版社に入って数年後の鹿子は、待望の文芸編集部に異動し、そのハンサムぶりと女癖の悪さで知られる売れっ子作家、加賀屋朔(城田)の担当を命じられる。

 鹿子は恋愛を知らない女だが、加賀屋もまた過去の出来事が原因で恋愛ができない男になっていた。徐々に互いのことが気になっていく2人が、もどかしくもいじらしい。

 第4話まで放送されたが、高い演技力を持つ森川がこのドラマでも本領発揮だ。純粋に小説が好きで、「抱きしめたくなるような作品を作りたい」と必死の鹿子。ときに妄想が暴走し、「文学処女、なめんなよ!」とタンカを切ってしまう鹿子。シリアスとコメディー、両方の領域を森川は軽々と、楽しげに行き来している。

 またイケメン作家の城田もいい。普段のドラマだと嫌みになったり、浮いたりするルックスが、陰影のある映像と相まって物語に生かされている。不器用な2人の恋愛は、これからが佳境だ。

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