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 高齢者の介護で問題になるのが胃瘻(いろう)です。

 内視鏡を使って胃と体表をつなぐ小さな穴をつくります。これにチューブを差し込み、流動食を直接、胃に流し込むのです。鼻から胃に通す経鼻チューブよりも抜けにくく、簡単確実という利点があります。

 脳卒中認知症が進行すると嚥下(えんげ)障害といって、ものをのみ込む機能が弱ってきます。その結果、飲み物や食べ物が気管に流れ込んで肺炎を引き起こすことがあります。これを誤嚥性肺炎といいます。

 入院して治療すれば回復しますが、肺炎の根本原因が解決されるわけではないので、すぐにまた同じことを繰り返します。そのため病院や介護施設などでは、そのような高齢者に胃瘻を勧めることが少なくありません。嚥下障害の高齢者に口から食事を取らせるのはたいへんな手間なのです。訴訟のリスクも否定できません。面倒なので胃に穴を開けてしまえ、というわけです。

 もっとも医療・介護側の都合ばかりとは限りません。嚥下障害で食事ができなくなると、急速に体力が落ちていきます。そのぶん死期が早まってしまうため、胃瘻を強く望む家族も大勢いるからです。

 かくして気がつけば日本は世界一の胃瘻大国。全日本病院協会が2011年に発表した資料によれば、胃瘻造設者は全国で約26万人。人口当たりでみると欧米諸国の4倍から10倍にも達するのです。

▽長浜バイオ大学・永田宏教授(医療情報学)

【連載】健康医療データの読み方

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