胃瘻を作ると何年生き続けるのか?

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 社会医療診療行為別調査(厚生労働省)という統計資料があります。毎年6月の1カ月間に、全国で行われた各種検査や手術等の総数が分かる便利な資料です。2011年6月の統計によれば、胃瘻(いろう)増設件数は7777件、そのうちの7016件が65歳以上の高齢者に対するものでした。

 この数字を12倍すれば、1年間に実施された件数に近い数字になるはずです。約9万3000件、65歳以上に限れば約8万4000件に上ります。年によって変動はありますが、毎年このくらいの人数に胃瘻が作られてきたと思っていいでしょう。

 一方、日本病院協会が行った調査によると、存命している胃瘻造設者は全国で約26万人(11年)。その9割が65歳以上。つまり約23万4000人が胃瘻を抱えた高齢者ということです。

 この2つの数字から、65歳以上の胃瘻造設者は、胃瘻を抱えた状態で約2.8年間生き続ける計算になります。大ざっぱに3年間と言い直してもいいでしょう。

 胃瘻を作った高齢者の多くは寝たきり状態で、しかも呼びかけにもほとんど応じないほど意識レベルが低下しているといいます。その状態で3年間も生き続けるのですから、介護する側もされる側も大変です。そういうこともあって、胃瘻を敬遠する動きがいま、全国的に広まりを見せているのです。

▽長浜バイオ大学・永田宏教授(医療情報学)

【連載】健康医療データの読み方

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