著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

検査編<2>性別で違うHPV治療 女性は婦人科も男性は耳鼻科

公開日: 更新日:

 病気の中には、女性特有のものがあります。子宮頚がんは、そのひとつですが、決して男性も無縁ではありません。

 子宮頚がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)が子宮頚部の粘膜に感染することが原因で、HPVはセックスで媒介されます。男性から女性だけでなく、女性から男性にも感染。男性が感染すると、尖圭コンジローマや陰茎がんなどの発症リスクが高まります。

 尖圭コンジローマは性感染症で、男女とも性器に良性のイボができる病気です。怖いのは陰茎がんですが、男性の悪性腫瘍の0.5%未満とそれほど多くはありません。確かに陰茎がんはレアながんですが、実はHPVを巡ってはもっと注意してほしいのが、咽頭がんです。

 咽頭は鼻の奥の「上咽頭」、扁桃や口蓋垂(のどちんこ)などの部分の「中咽頭」、のどぼとけの骨の辺りの「下咽頭」に分かれていて、HPVが感染しやすいのは「中咽頭」。その部分の粘膜は、子宮頚部の粘膜と環境が近いため、オーラルセックスなどでHPVが中咽頭の粘膜に感染すると、がん化する恐れがあるのです。

 咽頭がんは、一般に過度の喫煙や飲酒の影響が強いといわれます。しかし、こと中咽頭がんに関しては、HPVの影響が無視できません。米国では6割がHPVの感染が原因で、日本は5割。スウェーデンでは9割に上るという報告もあるほどです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    農水省ゴリ押し「おこめ券」は完全失速…鈴木農相も「食料品全般に使える」とコメ高騰対策から逸脱の本末転倒

  3. 3

    TBS「ザ・ロイヤルファミリー」はロケ地巡礼も大盛り上がり

  4. 4

    維新の政権しがみつき戦略は破綻確実…定数削減を「改革のセンターピン」とイキった吉村代表ダサすぎる発言後退

  5. 5

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  1. 6

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  2. 7

    粗品「THE W」での“爆弾発言”が物議…「1秒も面白くなかった」「レベルの低い大会だった」「間違ったお笑い」

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  5. 10

    巨人阿部監督の“育成放棄宣言”に選手とファン絶望…ベテラン偏重、補強優先はもうウンザリ