著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

夫が高血圧だと妻も高血圧になりやすい

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 生活習慣病として知られる高血圧ですが、その発症要因は多岐にわたります。主なものとして、遺伝的要因や、食習慣・喫煙などの環境的要因が挙げられます。

 夫婦は一般的には遺伝的要因を共有しておらず無関係といえます。しかしながら、その生活習慣や社会的・経済的背景、つまり環境的要因は多くの場合で似ていることでしょう。

 過去に報告された研究によれば、高血圧発症の危険因子は年齢や喫煙などが挙げられていますが、男女ともに配偶者が高血圧であることも高血圧発症のリスク要因であると報告されているようです。つまり、夫、もしくは妻が高血圧である場合、その妻、もしくは夫が高血圧になるリスクが高い。配偶者が高血圧であることが、高血圧発症の危険因子であるというわけです。しかし、配偶者の高血圧は必ずしも高血圧発症の危険因子とはならないという研究も報告されており、明確なことはよくわかっていませんでした。

 そんな中、高血圧関連の国際誌(2017年8月30日付)に高血圧患者の配偶者における高血圧の状況を検討した研究論文が掲載されています。この研究は、2017年6月までに報告された配偶者ペアと高血圧の関連を検討した研究8件を統合解析したもので、8万1928組の配偶者ペアが解析対象となりました。

 その結果、「高血圧患者の配偶者は高血圧を有する可能性が41%増加する」ことが示されました。また、この関連は男性と女性の両方に見いだされたと報告されています。配偶者の高血圧は高血圧発症の危険因子といえ、また高血圧の発症原因において生活習慣など、環境的要因の重要性が示唆されています。

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