著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学元教授、医事評論家

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

乳がん<5>「部分切除」より「全摘」を選ぶ患者が増えたワケ

公開日: 更新日:

 数カ月に及ぶ薬物治療が終了すると、いよいよ手術です。手術の方法は20世紀にほぼ確立されているので、診療ガイドラインの初版(手術に関しては2005年)から現在に至るまで、大きな変化はありません。進行度に応じて切除範囲(全切除か部分切除か)とリンパ節郭清の有無が分かれます。

 部分切除はステージⅡまで。ただし腫瘍の大きさが3cm以下とされています。ステージⅡでも、これより大きくなると全切除を勧められます。小さな腫瘍でも、同じ乳房に複数あるケース(多発がん)は「部分切除の対象から除外すべき」だと書かれています。一方、診断時にはステージⅢでも、術前薬物療法で十分に縮小していれば、部分切除が可能とされています。

 美容や心理的な問題から、部分切除を希望するひとが増え続けてきましたが、最近では逆に全切除を希望する患者が増えつつあります。というのも部分切除を行ったひとは、再発予防のため、術後の放射線治療が強く推奨されているからです。さらに、せっかく部分切除しても、術後の病理診断でがんが完全に取り切れていないと分かれば、「再手術」(弱く推奨)を考える必要が生じます。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  2. 2

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  3. 3

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  4. 4

    片山さつき財務相の居直り開催を逆手に…高市首相「大臣規範」見直しで“パーティー解禁”の支離滅裂

  5. 5

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  1. 6

    小林薫&玉置浩二による唯一無二のハーモニー

  2. 7

    森田望智は苦節15年の苦労人 “ワキ毛の女王”経てブレーク…アラサーで「朝ドラ女優」抜擢のワケ

  3. 8

    臨時国会きょう閉会…維新「改革のセンターピン」定数削減頓挫、連立の“絶対条件”総崩れで手柄ゼロ

  4. 9

    阪神・佐藤輝明をドジャースが「囲い込み」か…山本由伸や朗希と関係深い広告代理店の影も見え隠れ

  5. 10

    阪神・才木浩人が今オフメジャー行きに球団「NO」で…佐藤輝明の来オフ米挑戦に大きな暗雲