11月14日は「世界糖尿病デー」 すぐに実践できる血糖対策とは?

公開日: 更新日:

コロナ禍で糖尿病リスクの高まりが心配されている!

 11月14日は「世界糖尿病デー」だというのをご存じだろうか。この日は、世界に拡がる糖尿病の脅威に対応するためにIDF(国際糖尿病連合)とWHO(世界保健機関)が制定したもの。わが国でも、糖尿病患者とその予備群(高めの血糖値が心配される人)は2000万人以上にのぼるといわれており、コロナ禍の自粛生活でその脅威はますます高まりつつある。普段の生活の中で、我々はどのような血糖対策をすればいいのだろうか。

健康診断で55%の医師がHbA1cの悪化を懸念

 コロナ禍の生活変化によって生活習慣病のリスクがどの程度変化したのかを調べるために、日本生活習慣病予防協会が医師100人に実態調査を行ったところ、「コロナ禍で糖尿病のリスクが高まった」と考えている医師が約8割を占めた。その一方で、一般生活者3000人を対象にした調査では、血糖の指標であるHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)に関する認知率は、4割程度だったことも浮き彫りになった。コロナ禍で、なぜ血糖値が高めの人が増えているのか。このHbA1cという指標はどのような指標なのだろうか。

「そもそも血糖値とは血液中のブドウ糖の濃度のことをいいます。血糖値の測定はさまざまなタイミングで行われますが、どのような状況下で採血したのかで数値は大きく変わります。一方、血液中の糖化したヘモグロビンの割合を測るHbA1cは、1〜2カ月の血糖値の平均を反映しています。長期的に血糖のコントロールがどうだったのかを捉えることができるので、自身の血糖の状況を知るうえでHbA1cは重要な指標とされています」と話すのは、パーソナルトレーナーで管理栄養士でもある河村玲子先生だ。

■自粛生活の体重増加がHbA1cを下げにくくしている

 なぜいま血糖値やHbA1cが高めの人が増えているのか。

「コロナ禍で糖尿病のリスクが高まった大きな原因として、食べ過ぎや運動不足で、体重が増加している方が増えていることが挙げられます。通常なら、通勤しているだけでも、最寄りの駅まで歩いたり、階段の上り下りをしています。仮に、電車に乗っている時間が往復で1時間、歩いている時間が40分、階段の上り下りが6分だとした場合、往復のカロリー消費は体重の約4.8倍のキロカロリーになります。つまり、体重が50キロなら240キロカロリー程度を消費しているのです。1日に240キロカロリーの消費量が減るということは、単純計算すると1カ月で体脂肪が約1キロ増えることになるわけです」(河村先生)

 体脂肪の増加が血糖値やHbA1cの上昇を引き起こす理由とは。

「インスリンというホルモンは、組織に糖を取り込ませることで血糖値を下げる働きがあります。ですが、体脂肪が増えると、インスリンの効きが悪くなり(インスリン抵抗性)、組織に糖を取り込みづらくなってしまいます。これが血糖値やHbA1cの上昇を引き起こし、糖尿病のリスクを高める大きな要因の一つになります。(河村先生)

■カロリーを減らすには糖質制限が簡単な選択肢

 体重増加、肥満を解消するためには、食事の摂取カロリーを減らすこと、運動でカロリーを消費することが鉄則。食事でカロリーを制限するには、脂質・糖質を減らすことがポイントである。

「一般の方の場合は、糖質を減らすのが簡単な方法だと思います。脂質制限には食品の知識が必要ですし、調理方法も選ばなければなりません。糖質制限なら主食のご飯を減らすなど、分かりやすくて、それほど難しいことではないからです」

 どれだけ糖質を減らせばいいのか。

「1日130グラムが基準です。朝昼晩は40㌘ずつ、間食は10グラムというふうに、分けて糖質を摂るようにしてください」

 40グラムの糖質とは、ご飯ならどのくらいなのか。

「コンビニのおにぎり1個が、だいたい糖質40グラム。おかずにも糖質は含まれていますが、そこまで計算しなくてもいいと思います」

■“ヨーグルト・ファースト”が注目される理由

 食事の食べる順番として、サラダから食べるベジ・ファーストがいいとされているが、最近は肉や魚から先に食べる「プロテイン・ファースト」が注目されているという。

「お肉やお魚を先に食べると、糖の吸収を緩やかにするとともに満腹中枢を刺激して食べ過ぎも防げます。また、ヨーグルトを先に食べて、その10分後におにぎりを食べた場合、血糖値の上昇が抑えられたという報告もあります。ヨーグルトは腸内環境もよくしてくれますし、タンパク質も入っているので食欲も抑えられる。個人的な意見ですが、“ヨーグルト・ファースト”の食習慣はおすすめですね」

 ヨーグルトや納豆などの発酵食品は、腸内環境を整えるだけでなく、血糖対策でも重要な役割を担っているそうだ。

「乳酸菌などで増えた善玉菌が、食物繊維を短鎖脂肪酸に作り替えてくれるからです。この短鎖脂肪酸は、タンパク質を分解してできたアミノ酸とともにGLP-1という血糖値が高い場合にのみインスリンの分泌を促進させる物質の分泌を刺激するのです」

 HbA1cの値が心配な人は、ぜひ実践してみてはどうだろうか。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 2

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  3. 3

    高市内閣の閣僚にスキャンダル連鎖の予兆…支持率絶好調ロケットスタートも不穏な空気

  4. 4

    葵わかなが卒業した日本女子体育大付属二階堂高校の凄さ 3人も“朝ドラヒロイン”を輩出

  5. 5

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    隠し子の養育費をケチって訴えられたドミニカ産の大物種馬

  3. 8

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 9

    高市早苗「飲みィのやりィのやりまくり…」 自伝でブチまけていた“肉食”の衝撃!

  5. 10

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑