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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

元宝塚女優が急逝…甲状腺未分化がんを「最凶」と恐れる理由

公開日: 更新日:

 残念なニュースが報じられました。元宝塚の女優で日本舞踊家の峰さを理さんが先月30日、甲状腺未分化がんで亡くなったそうです。

 何が残念かというと、昨年1月に肩の違和感を覚えたものの、コロナ禍で受診を控えたため、7月に甲状腺未分化がんと診断されたこと。このがんは、とても進行が速く、診断の遅れが悲劇を早めた可能性が考えられるのです。

 のどぼとけの下にある甲状腺は4、5センチほどと小さいながらも、ホルモンを分泌。子供のころは成長にかかわり、成人すると代謝を調節する、とても重要な働きをになっています。

 そこに発生したがんが甲状腺がんで、そのうち9割は乳頭がんとよばれるタイプで、ほとんどは悪性度が低い。男性の前立腺がんと同様に治療せず、経過を観察する監視療法があるのは、そのためです。低リスクの乳頭がんなら、10年生存率は99%以上とまず悪さをしません。

 対照的なのが、未分化がんです。乳頭がんをはじめもともとあった甲状腺の分化がんが、長い時間をかけて未分化がんに転化するといわれています。60歳以上に多く、突然、首が腫れて、急速に大きくなってきたことを心配して受診されることが珍しくありません。

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