韋駄天・福本豊の“盗打二刀流”伝説…通算1065盗塁はプロ野球記録「3大天文学的数字」の一角
プロ野球の記録で「3大天文学的数字」と語り伝えられているのが金田正一の400勝、王貞治の868本塁打、そして福本豊の1065盗塁である。各2位は米田哲也の350勝、本塁打が野村克也の657本、盗塁は広瀬叔功の596個。とりわけ盗塁の差の469個は桁外れだ。
その福本には伝説的なエピソードが数多くあるが、三塁走者として内野飛球でホームインしたことが2度もある。傑出した走塁だった。
しかも、ダブルヘッダーの第1試合と第2試合のいずれも一回表にやってのけているのだからすごい。
1976(昭和51)年6月20日、大阪球場での南海-阪急のダブルヘッダー。トップバッターの福本は第1試合の第1打席に四球で出塁すると、すかさず二盗。2番の大熊忠義の送りバントで三塁へ進んだ。続く3番の加藤秀司は一塁後方への飛球を打ち上げた。これを一塁手が捕球した途端、福本が快足を飛ばしてホームへ生還、先制点を挙げたのだ。
確かに南海内野陣に油断があった。しかし、福本は第2試合でも同じことをやってのけた。初回に四球、二盗で無死二塁とし、2番の正垣宏倫の送りバントで三進。ここでまた加藤が打ち上げた二塁後方への飛球を二塁手が捕るや、福本はホームを駆け抜けた。