認知症を悪化させてしまう接し方とは? 不安は進行リスクを高める

公開日: 更新日:

 認知症を発症する方の約68%はアルツハイマー型認知症です。脳の神経細胞が減っていってしまうことで、脳の中でも記憶をつかさどっている海馬から萎縮が始まります。そのため、同じ質問を繰り返したり、料理や着替えといった日常の手順が分からなくなって動作が困難になってくるのです。こうした症状がある認知症の方に対し、症状を悪化させる言動があります。たとえば「行動を制限する」「役割を取り上げる」「強制する」「叱責する」「命令する」「否定する」といったものです。

 認知機能が低下して手順を忘れたとしても、体で覚えた技術(運動習慣や料理など)は忘れないからです。そのため、やっていたことをやめさせるのは大きなストレスになります。

 また脳の中でも「扁桃体(へんとうたい)」と呼ばれる快・不快を感じる場所は海馬の近くにあり、感情は最後まで記憶に残りやすいのです。そのため、叱責されると、どうして怒られたのかは理解できなくても「この人に怒られた」「嫌な思いをさせられた」という感情はしばらく残ってしまう。不快な記憶が積み重なると、相手とのコミュニケーションを拒むようになります。不安心理から、妄想や異常行動が悪化し、認知症が進行するリスクが高まります。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ヤクルトのドラフトは12球団ワースト…「余裕のなさ」ゆえに冒険せず、好素材を逃した気がする

  2. 2

    「汽車を待つ君の横で時計を気にした駅」は一体どこなのか?

  3. 3

    ソフトバンクは「一番得をした」…佐々木麟太郎の“損失見込み”を上回る好選定

  4. 4

    コメ増産から2カ月で一転、高市内閣の新農相が減産へ180度方針転換…生産者は大混乱

  5. 5

    オリックスまさかのドラフト戦略 「凶作」の高校生総ざらいで"急がば回れ"

  1. 6

    ヤクルト2位 モイセエフ・ニキータ 《生きていくために日本に来ました》父が明かす壮絶半生

  2. 7

    オリ1位・麦谷祐介 暴力被害で高校転校も家族が支えた艱難辛苦 《もう無理》とSOSが来て…

  3. 8

    “代役”白石聖が窮地を救うか? 期待しかないNHK大河ドラマ『豊臣兄弟』に思わぬ落とし穴

  4. 9

    福山雅治は"フジ不適切会合参加"報道でも紅白で白組大トリの可能性も十分…出場を容認するNHKの思惑

  5. 10

    バスタオル一枚の星野監督は鬼の形相でダッシュ、そのまま俺は飛び蹴りを食らった