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名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

繰り返される学級閉鎖 …いまこそマスク着用の有用性についての科学的検証を行うべき

公開日: 更新日:

 マスク中止の前後比較においては1000人当たりの感染が44.9(95%信頼区間 32.6~57.1)増加したという結果である。この感染の増加は教員においてより顕著で、教員1000人当たりの感染が81.7(59.3~104.1)増加、生徒は39.9(24.3~55.4)増加という結果である。

 マスク中止の期間に大きな流行があれば当然こうした結果になる。歴史的に見ても非ランダム化の前後研究の結果はのちに否定されるものも多い。最近では敗血症に対するビタミンB、Cの効果に関して、前後比較で報告された死亡に対する相対危険0.13というすさまじい効果が、ランダム化比較試験で否定されたのは記憶に新しい。

■日本の脚気論争では有益だったが…

 ただ前後比較が決定的なエビデンスであったという歴史的事実もある。脚気についての非ランダム化前後比較試験によって、洋食の導入前後で日本の海軍での脚気がほぼ根絶されたのがそれである。白米を主食とした和食を提供していた時期の軍艦龍驤では380名のうち脚気の死亡が25名出たのに対し、パン食を主食とした洋食の提供によってほぼ同じ航路をたどった軍艦筑波では330名のうち脚気による死亡が0名であった。

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