ミスをした時、詭弁を弄する医師はなにを守ろうとしているのか
何を守ろうとしているのでしょう。これでは医者として、病院として、そして一人の人間として、それぞれの「信用」をすべて失います。
実際、こんな相談を受けました。心臓外科のギョーカイでは今どきよくある、アルアル事故です。
地方の大学病院が、わざわざ小さい傷口で心臓弁を交換する手術を行って、患者さんが亡くなってしまいました。心臓の大事な血管の入り口を人工弁が塞いでしまったのです。結局、従来通り、大きく胸を開けて見やすい状態で弁置換をやりなおしたのですが、手遅れでした。
遺族は「一生懸命やっていただいた結果であるなら納得しますが、ミスはない、反省点はないと強弁されると……」。
遺族は、大学病院側に「患者さんのことを思って小さい傷でやったのですが、やはりこの慣れない方法では心臓の内部がよく見えなくて人工弁で大事な血管を塞いでしまいました。初めから普通の大きな傷で手術していれば、こんなことにはならなかったと思います。反省しています!」と説明してほしかったのです。