感覚器と心臓(3)「後発白内障」による視力低下は治療ですぐに改善できる
■矯正しても視力が出ない恐怖は想像以上
前回お話ししたように、白内障の手術で使われる眼内レンズはさまざまなタイプがどんどん進化しています。これからもまだまだ優れたタイプが開発されるでしょう。ただ、いずれ登場するであろう新しいタイプを待って白内障の治療を控えるよりも、現時点で行えるベストな治療を受けて、視機能を改善したり、維持することを優先させるべきだと考えます。
治療を先延ばしにしてより優れた眼内レンズを選ぶことよりも、それまで視力が低下した不自由な状態で生活を続けるほうが、さまざまな支障を来しやすくなり、健康寿命を縮める結果になりかねません。
視力に問題がなく「よく見える」という状態に比べ、視機能に不具合があって「あまり見えない」ことによって生じる一番のマイナス要素はストレスです。相手は見えているのに自分は見えないという状況は、誰かと出会ったときの対応や、とっさの状況判断などに影響が出ます。実際、私も他人や周囲を認識するための探知能力が落ちてしまって、大きなストレスを感じました。