「丸刈りにされた女たち」藤森晶子著
「丸刈りにされた女たち」藤森晶子著
第2次世界大戦中の1944年夏、ドイツ軍の占領から解放されたフランスでは、祝祭ムードの一方で、ドイツ軍に協力した者たちへの復讐的リンチが横行し、8000~9000人が処刑された。さらにドイツ人兵士と性的関係を持ったとされる若い女性たちは髪を丸刈りにされ、さらし者にされた。その数は2万人とされるが、実際にドイツ人兵士と関係を持った女性は半分にも満たず、残りの女性たちは経済的協力者や密告者、対独協力的組織の加入者、枢軸国出身者などだったという。
このような女性たちが占領下をどのように過ごし、そして丸刈りにされた後、どのように戦後を生きたのか。2004年から生き残りの彼女たちを捜して調査してきた著者によるノンフィクション。
(岩波書店 1166円)