プロボウラーの渡辺けあきさん心内膜炎から脳梗塞を発症した体験を語る

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4月からボウリングを再開し6月にトーナメント出場

 私の脳梗塞は、視床と中脳に起こり、少量の脳出血もあったので、後遺症は左半身麻痺と複視です。1カ月は左半身に力が入らず、左目の瞳を動かすことができないので焦点はバラバラ。二重どころか、1つのコップが40~50センチも離れて2つあるかのように見えていました。「動眼神経麻痺」というそうで、治る人は3割と聞きました。でも、リハビリの甲斐あって徐々に回復はしています。まだ物は若干二重に見えますし、左方向を横目で見ると右目が遅れてついてくるので、めまいを感じることがあります。だから振り向くときは体ごと向くよう心掛けています。体調に波はありますけれど、体の麻痺はほぼありません。

 ボウリングで培った体力が回復に大いに関係したと思います。「ここまで回復するのは珍しい」と医師も驚いていました。それでも、「退院後は1日1万歩を目標に歩いてください」と言われました。体の筋力がなくなると心臓に負担がかかるので、心臓病患者に運動は一生のノルマ。ただ、術後は人より心拍数が速くなったので疲れやすく、やりすぎもNG。とにかく心拍は常に気にして、脈や血圧とともに朝昼晩、毎日測っています。

 薬は心拍を抑える薬と、神経復活にいいというビタミン剤、血液サラサラの薬を飲んでいて、2カ月に1度は検診も受けています。

 じつは4月からボウリングを再開し、6月にはトーナメントに出場しました。つくづく、ボウリングはリハビリにちょうどいい運動量だと思いました。ボールの動きを目で追うことや、ピンが瞬時にどう飛んだかを見るのもプロには必要なことなので、目のリハビリにも適しています。

「継続は力なり」と言いますけど、脳梗塞のリハビリは毎日の積み重ねが必要です。やってもやっても変化がない時期もくるけれど、それでもやり続ける。もっといえば、リハビリは後遺症を自認する前から始めるのがベスト。とにかく即始めることが早く回復する方法です。

 ひとつ後悔しているのは、「熱中症でしょう」と言われたとき、「そんなはずない」と思いながら、「もっと検査してください」と言えなかったことです。あの段階で感染性心内膜炎がわかっていたら、脳梗塞にならずに済んだはず。納得がいかなかったら遠慮しちゃダメだと学習しました。今風にいうなら「自分ファースト」。だから最近、「ずうずうしくなった」と言われます(笑)。

(聞き手=松永詠美子)

▽渡辺けあき(わたなべ・けあき)1992年、栃木県出身。2012年、日本プロボウリング協会のプロテストに合格してプロ入りし、「中日杯2019東海オープンボウリングトーナメント」で優勝を果たす。普段はボウリング場のインストラクターとして活動している。テレビアニメ「ルガーコード1951」などで声優も務めている。

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