著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

がん専門医の私が受け止めた坂本龍一さん晩年のメッセージ

公開日: 更新日:

 今月7日に放送された番組「NHKスペシャル Last Days 坂本龍一 最期の日々」が驚きをもって受け止められています。タイトルで分かるように、昨年亡くなった音楽家・坂本龍一さん(享年71)の晩年の姿に迫った内容です。

「教授」の愛称で親しまれ、私も大好きでしたから番組を見ました。その内容は、とても示唆に富んでいると思います。番組のエッセンスを踏まえて、がんとの向き合い方を紹介しましょう。

 番組では教授がつづった日記に触れながら、心の葛藤に迫ります。20年に大腸がんが肝臓に転移して余命半年と宣告された日は、「現実なのか。現実感がない」と動揺した心のうちを吐露し、「あるいは今、安楽死を選ぶか」と極論に及んだことまで伝えています。

 がん患者の自殺率は、そうでない人の24倍。がんで離職した人のうち4割は、最初の治療が始まる前に職場を去っています。診断直後のつらさで自暴自棄となり、冷静な判断ができなくなるのです。教授は「安楽死」を避けることができましたが、番組からは診断をめぐって苦しんだ様子が見て取れます。悔しさの象徴は次の言葉に集約されるでしょう。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

  2. 2

    ヤクルト「FA東浜巨獲得」に現実味 村上宗隆の譲渡金10億円を原資に課題の先発補強

  3. 3

    どこよりも早い2026年国内女子ゴルフ大予想 女王候補5人の前に立ちはだかるのはこの選手

  4. 4

    「五十年目の俺たちの旅」最新映画が公開 “オメダ“役の田中健を直撃 「これで終わってもいいと思えるくらいの作品」

  5. 5

    「M-1グランプリ2025」超ダークホースの「たくろう」が初の決勝進出で圧勝したワケ

  1. 6

    出家否定も 新木優子「幸福の科学」カミングアウトの波紋

  2. 7

    福原愛が再婚&オメデタも世論は冷ややか…再燃する「W不倫疑惑」と略奪愛報道の“後始末”

  3. 8

    早大が全国高校駅伝「花の1区」逸材乱獲 日本人最高記録を大幅更新の増子陽太まで

  4. 9

    匂わせか、偶然か…Travis Japan松田元太と前田敦子の《お揃い》疑惑にファンがザワつく微妙なワケ

  5. 10

    官邸幹部「核保有」発言不問の不気味な“魂胆” 高市政権の姑息な軍国化は年明けに暴走する