<上野・アメ横>まるで香港の女人街
新御徒町・佐竹商店街からアメ横まで歩いていくことにした。「昔はリーバイスやコンバースを買おうと思ったらアメ横しかなかったんだよ」「店によって値段も置いてある品も違うからひとつひとつ見ていかなくてはならなかった」「革ジャンとか、よそで買おうと思ったら10万円近くするものも、アメ横なら5万円くらいで売っていた」
学生時代にアメ横に通い詰めていたカメラマンの話を聞きながら、着いたのは韓国料理屋が集まっている一角。大阪出身の私には、鶴橋の超ミニ版といった感じだ。
お世辞にもきれいとは言えない店がゴチャッと固まり、細い通路が怪しい雰囲気を醸し出している。月曜日だからか、閑散としている……。
「どんどん店がなくなり、これだけになった。味も落ちたと聞くな」
こんな声も聞いたことがある。しかし、雰囲気を味わうには最高。韓国の裏路地に入った気分だ。
カメラマンが十数年前から何年か、毎冬、白子入りの「雪鍋」を食べに来ていたという青森料理屋の前を通り、アメ横へ。今度は韓国ではなく香港のような光景。まるで「女人街」のようで、衣類や靴が売られていると思ったら、その横は魚屋や飲食店。アメリカ軍の払い下げ用品らしきものもある。アメ横の中は、化粧品屋、ベルト屋、アメリカの衣料品店などゴチャゴチャ。食べ物のニオイがやたらとすると思ったら、地下は食料品店だった。「香港に行った時、アメ横みたい、と思ったもん」とカメラマン。私はその逆で、1年前に行った香港の興奮を思い出し、懐かしくなった。
さっき通った青森料理屋で一杯。十数年前、シャキシャキ働いていたというおかみさんは亡くなられたとか。行きたいところは早く行かなくては……。
【世田谷散歩人 和田町夫】