墨すり三年 書き八年 <泪橋>
どこもかしこも再開発で、古き良き風景が失われていく。実に残念無念なのだが、南千住の泪橋に来て救われた気分になった。
「スカイツリーができて、変わりましたか?」
「泪橋 大嶋屋提灯店」の村田修一さん(写真)に聞くと、「この辺りは全然」という答えがすぐに返ってきた。
「小学校時代の同級生も、今でも何人か近所に住んでいますし、あえて変わったといえば、外国人のバックパッカーが泪橋周辺のホテルに泊まるようになったことかな」
大嶋屋は創業100年、修一さんで3代目。4代目が修業中だ。
「もとは道を挟んだ向かい側で営業していたんですが、大東亜戦争の時、防火のために道を広げるからと強制疎開になり、こっち側に移ってきた」
江戸時代から提灯は「張る」と「書く」は分業だったという。