せっかく見つけたいい店も…<練馬>
「学生時代、大学から近かったからよく行ったけど、何もないところだったよ」と、同行のカメラマン。
「練馬にいい飲み屋があるらしいから、今度の街歩きはそこにしましょう!」と声をかけた時だ。50代のオジサンになった彼にしてみれば、練馬のイメージはそんなものだろう。しかし西武池袋線の練馬駅前は、やけに賑やかだった。でっかいビルが立ち並び、チェーン店の看板がチッカチッカしている。ただし、住所が桜台に変わる辺りになると、いい具合に「こなれた」街に変わってきた。カメラマンが「そうそう、俺が来てた時はこんなふうだった」とうなずく。地名の由来となった桜はもうない。開発の名の下に次々と伐採されていったからだ。
屋内釣り堀があった。建物の2階とは珍しい。残念ながら定休日(火曜日)。中をのぞきたかったが、当然ながら入れなくなっており、断念。
この辺りで、目的の飲み屋へ。森進一ならぬ「とりしん一」。娘さんが名付けたのだとか。1本130円の肉汁たっぷりの串、デリシャス! 腹いっぱい食べてハイボール十数杯飲んだ私とカメラマン、隣り合わせた美男美女カップル、店主の酒をすべておごっても会計は8000円台である。
「いい店ですね」
ところが店主によれば、この周辺は再開発が決まっていて、12月までの営業なのだとか。あぁ、ここも……。どうしていい場所がどんどんなくなっていくのかね。
【世田谷散歩人 和田町夫】