殺伐とした世の中に…仏教の「和顔施」と「言辞施」の意義
繁華街を歩いていると、人とすれ違うたびに怖さを感じることがある。職場での人間関係がうまくいかずにイライラしているのか、理由はそれぞれあるのだろうが、険悪な顔つきでわざとぶつかってくる人がいる。
先日は、渋谷のスクランブル交差点で、若い男と高齢男性がぶつかり、高齢者がよろける場面を目撃した。実に危ない。その背後で、茶髪の女2人連れが、「ジイさんがこんなところを歩くからだよ」と笑った。「あんたたちもやがてバアさんになるのだよ」と心の中で舌打ちしたが、こうした思いやりを持たない人間が増えている。
以前も書いたが、目の前に高齢者が立っているのにもかかわらず、電車の優先席に平然と座っている若者もいる。ひどい世の中だ。そんな中、講演で長野県のある町に行ったときのことだが、通学路なのだろうか、細いあぜ道で小学生の男の子数人から挨拶をされた。この町独特のイントネーションで、「こんちゃぁ~」と言われた。見ず知らずの僕にニコニコしながら言うのだ。いい子供たちだなぁとうれしくなり、僕も笑顔で「こんにちは」と挨拶をした。