市場規模は膨らんだのに…葬儀の平均単価が縮小した理由
かつて、葬祭業はオイシイ業界といわれました。通夜や葬儀では、棺桶や位牌、エンバーミング(死体消毒防腐処理)、ドライアイスなどを除き、ほとんどが使い回しできる材料だったからです。
花輪、祭壇、鯨幕、受付セット、霊きゅう車、各種飾り具などは、劣化しても修復して何度でも使えます。その上、祭壇などの貧弱な部分を豪華に見せるべく、遺族の見えを刺激し、追加費用の連発で、単価もバンバンつり上げてきました。その気になれば、ボッタクリが横行する業界だったともいえます。
実際、従来型葬儀のケースで、価格150万円の推定内訳はこうです。
棺桶は安ければ7000円の合板製、火葬が都内なら5万円(地方は1万円)、ドライアイスが2000~3000円、霊きゅう車のガソリン代が1000円、飾り具が2000円、仏衣が800円、骨箱が500円、花輪は800円程度で使い回し……。原材料費は10%以内にラクラク収まっていました。