吉田秀彦さん<1>明治大から新日鉄入社後すぐに五輪の合宿
吉田秀彦さん(48)は、1992年のバルセロナ五輪、柔道78キロ級の金メダリスト。この大舞台でオール一本勝ちで頂点に上り詰め、その名を世界にとどろかせた。当時は、明治大学から新日鉄に入社したばかり。社会人1年生でもあった――。
「あの年は、4月に入社して、7月に試合(バルセロナ五輪)だったんです。オリンピックまでの間はほとんど合宿でした。入社後、会社に行ったのは、挨拶に顔を出したのと、社長や役員の皆さんに壮行会をしてもらった2日間だけだったと思います。
入社してすぐ、五輪の最終選考会を兼ねた試合があって、いつになく緊張した覚えがあります。というのも、普通の社員は一日中働いて給料をもらうわけですが、“自分は給料をもらって柔道をさせてもらってる”――と、そう思ってた。だから、新日鉄という看板を背負って試合に出るからには、柔道でキチッと結果を出すしかないって。そういう意味では、学生時代よりずっと気合が入ってたかもしれません」