牧野伊三夫
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牧野伊三夫画家

1964年生まれ。画家。美術同人誌「四月と十月」同人。著書に「かぼちゃを塩で煮る」(幻冬舎)、「僕は、太陽をのむ」(港の人)ほか。北九州市情報誌「雲のうえ」、飛騨産業広報誌「飛騨」編集委員。

上野の不忍池 景観を保つため男が枯れたハスを引き上げる

公開日: 更新日:

 2月の土曜日、朝から電車に乗って上野へスケッチに出かける。JR上野駅の中央改札口の三角天井には、猪熊弦一郎の大壁画がある。東北への玄関口だからだろう、秋田犬や岩手の馬、露天の温泉などが描かれてある。上野駅では、この絵を見るのが楽しみだ。

 改札を出て仰ぎ見ていると、後ろから乗客たちがあわただしくカードを改札機に当てながら次々と出てきて、おい、じゃまだよ、と言わんばかりに通り過ぎていくので、僕は画具をかかえてよろめいた。

 不忍池へ行くと、男たちが伸びたアシの間にいくつも小さな筏を浮かべて上に立ち、枯れたハスを柄の長い鍬で集めて引き上げる作業をしていた。池の景観を保つためであろう。持ち上げるとき、「うんコラショ」とか「重てえよ」と大声を張り上げている。つらい作業をしている傍らでのんきに絵など描いて申し訳ないような気がしたが、僕はその景色を描くことにする。

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