牧野伊三夫
著者のコラム一覧
牧野伊三夫画家

1964年生まれ。画家。美術同人誌「四月と十月」同人。著書に「かぼちゃを塩で煮る」(幻冬舎)、「僕は、太陽をのむ」(港の人)ほか。北九州市情報誌「雲のうえ」、飛騨産業広報誌「飛騨」編集委員。

赤井さんが編集した本 著者が放射能汚染に抗ってきた記録

公開日: 更新日:

 編集者の赤井茂樹さんは僕より10歳くらい年上だろうか、そういえばきちんと年を尋ねたことがない。出版の仕事を通じて知り合ったが、いつしか一緒に酒場へ行くようになった。飲んでいる間はだいたい赤井さんが話していて、僕はその話を面白がって聞いている。そんなふうに一方的に話をされても酒をおいしく飲める人は赤井さんの他にいない。

 先日、久しぶりに赤井さんが編集をされた本が送られてきた。「海を撃つ 福島・広島・ベラルーシにて」。安東量子著、みすず書房刊。本のカバーは、ただ黒い海面を写しただけの写真。霧がたち込めているのだろうか、水平線はぼんやりとかすんで海のかなたに溶け込んでいる。

 この本は2011年の東日本大震災が起きたとき、福島に住んでいた著者が今日まで原発事故による放射能汚染にあらがってきた、その記録である。赤井さんの作る本はいつもそうだが、この本もまた科学や政治の専門的領域の難解さを超えて読者の知的な欲求に寄り添い、分かりやすい言葉で語っていた。安東量子の正直な言葉と明解で強い思いにぐんぐん引きこまれていく。正直なところ難しそうなテーマゆえに、読後にうまく感想を伝えられるかと心配していたのだが、それは杞憂であった。マスコミ報道では知り得なかった福島の人たちの事故後の混乱と、避難や復興がいかなるものであったかを知った。また、チェルノブイリを含め、原発事故において何が本当の問題であるのか、ということを考えるようになった。

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