千島列島の火山灰が日光遮断 今年は冷夏襲来の3条件が揃う
北海道東岸から北東約800キロにある千島列島の雷公計島(ライコーク=標高551メートル)が22日未明に噴火。噴煙は高度1万3000メートルまで達した。ちょうど飛行機が飛ぶ高度で、気象庁は火山灰がエンジンを止める恐れがあると航空会社などに注意を呼び掛けている。今後、飛行ルートの変更などで遅延する可能性があるが、もっと厄介なのが、天候への影響だ。
「飛行機がこの高度(成層圏下部)で飛ぶのは、穏やかだからです。空気抵抗が小さく、効率良く進めます。他方、火山灰が成層圏にまで到達してしまうと、灰は地上に落ちず、成層圏に2~3年くらい滞留します。噴火が繰り返され、灰が蓄積すると太陽光が遮られ、地球への日射が減り、気温の低下をもたらすのです」(立命館大環太平洋文明研究センターの高橋学教授=災害リスクマネジメント)
大規模噴火後の冷害や飢饉は過去に何度も起きている。
江戸中期の「天明の大飢饉」は、噴火した岩木山や浅間山の火山灰が日光を遮り、農作物に壊滅的被害をもたらした。
1993年の夏は、平年より2~3度低い記録的冷夏となり、米が大凶作に。国産米は入手困難になり、タイなどから緊急輸入する非常事態となった。「平成の米騒動」である。