「南国酒家」5代目社長 宮田順次さんの巻<1>
ふた川(東京・六本木)
六本木の交差点から六本木1丁目方面に向かって5分ほど、三河台公園の向かいの路地の階段を上がると、この店の看板が見えます。表の六本木通りの喧騒とは裏腹に落ち着いた雰囲気に、「関西割烹」の文字が映えます。
このふた川さんは、食通の知人に教えていただいてから旬の和食が食べたくなると時々、お邪魔します。ご夫婦2人で切り盛りされていて、白木のカウンターに6席と小上がりのこぢんまりとしたたたずまいです。
カウンターに腰を落ち着けて、瓶ビールを1本頼んで、お話を伺うと、ご主人は銀座の老舗関西割烹の出井さんで修業されたとのこと。「関西割烹でしょ、この時季はハモを外せません。いいものを吟味して仕入れないと」と笑顔で語りかけてくれました。
その気持ち、よく分かります。私が手掛ける中華料理の世界で、干しアワビは3大食材のひとつ。日本から多く輸出され、日本に逆輸入されるのは品質がイマイチのものが少なくない。そこで、私は国産・蝦夷産の干しアワビの普及に頑張りましたから。
私が和食屋さんで重視するのは、どこで修業されたか。最近の方はネットの口コミサイトのランキングを気にされるようですが、あれはほとんど意味がありません。特に和食は、修業された店が大事です。