新型ウイルス対策 「東京は封鎖できるか」内閣官房に聞く
新型インフルエンザや未知の感染症が国内外で発生または疑いがあるとき、日本は国家の危機管理として内閣総理大臣をトップとする「新型インフルエンザ等対策閣僚会議」が動きだす。未知のウイルスを国内に入れない水際対策が最重要だ。
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新型コロナウイルスによる肺炎が集団発生した中国中央部の武漢市が、市外へ向かう鉄道や航空便を一時停止した。東京都の1385万人に匹敵する約1100万人の人口を抱える巨大都市だけに、その経済的損失は計り知れないが、もし国内で武漢のような感染症の大量発生が起きたら、東京や大阪が封鎖されることはあるのか。
普通のインフルエンザでも、それらを原因とする国内死亡者数は年間1万人程度と推計されており、新型だからといって殊更に恐れる必要はない。ただし、今回のヒトからヒトへ感染する新型コロナウイルスが突然変異し、より強毒化する可能性は否定できない。国内にウイルスを「入れない」という水際対策がカギとなる。
成田空港や関空を閉鎖するのか?
「WHO(世界保健機関)が緊急対策を発表した場合、日本政府の判断で『新型インフルエンザ等対策ガイドライン』に基づき、発生国からの便を検疫実施の空港、海港へ集約化します。空港名は、成田、羽田、関西、中部、福岡の5つ。港は横浜、神戸、関門、博多の4つになります。羽田や関空は国内便も運航しており、混乱を避ける意味でも完全に閉鎖することは予定されておりません」(内閣官房新型インフルエンザ等対策室担当者)
当該国からの国際便などは自粛を要請するだけにとどまり、地方空港に来た場合は成田や関空へと到着地が変更になるというわけだ。そこでサーモグラフィーやPCR検査を行い、ウイルスを国内に持ち込ませないようにする。
ただし、同ガイドラインでも「感染してから発症するまでに潜伏期間があるので、水際で侵入を完全に防ぐことはできない」と認めている。となれば、東京や大阪がアウトブレーク(感染症の集団発生)の可能性が地方より高くなるわけだ。その場合、武漢のように鉄道や地下鉄を止め、必要なら道路の封鎖も考慮に入れなくてはいけない。
「隔離措置についての判断は難しく、まずは国民の生活の安定が優先されます。電気・ガス・水道のインフラのほか、郵便や運輸についても、各社に従業員の欠員に対応できる体制づくりをお願いしています」(前出の内閣官房担当者)
ウイルスの拡散を防ぐため、むしろAmazonなどの配送は自粛して構わない気もするが、あちらを立てればこちらが立たずのジレンマがあるようだ。