「尻の上げ下げ筋トレ」で尿漏れの悩み解決 専門家が指南

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 還暦ともなると、「尿漏れ」は他人事ではない。「夜中に尿意を催し1回、2回と目が覚める」「オシッコが終わりチャックを上げた途端にチョロ」「オシッコを出し切った感じがしない」――。どれもこれも経験がある人も少なくないだろう。でも、医者に行くのは恥ずかしいというのが本音ではないか。だが、諦めることはない。実は尿漏れをストップさせる筋トレ法があるという。専門家に聞いた。

 ◇  ◇  ◇

 尿漏れの最もポピュラーな対策は、「骨盤底筋を鍛えること」だ。骨盤底筋とは、体の前側の恥骨付近から後ろ側の尾骨にかけて、骨盤の底を体の前後にハンモック状にのびている筋肉。男性の場合、性器と尻の穴を結ぶ股の“縫い目”の付近に横たわっていると言えば分かりやすいか。肛門の括約筋も骨盤底筋群のひとつだ。

 この筋肉が加齢とともに衰えてくると、尿道や肛門が緩んでしまう。結果、ガマンが利かずに、ついつい尿のチョイ漏れやウンチ漏れが起きる。とくに、クシャミやセキが出た時、運動で力が入った時、重い荷物を持ち上げようとした時などに発生しやすい。

 つまり、この筋肉を若いころのレベルに鍛えることが、改善につながるというわけ。その具体的方法は――。

■インナーマッスルを鍛えるエクササイズ

 大阪市東淀川区などで中高齢者向けの筋トレ教室を週3回開講するスクワットアドバイザー、小川りょう氏が言う。

「骨盤底筋を鍛える最もポピュラーなエクササイズは、ヒップリフト(お尻の上げ下げ運動)です。これは、自分の体重を負荷に変える“自重筋トレ”のひとつで、自分の筋力レベルに合わせて実行できます。自宅で道具ナシで、しかもマイペースでできる。私の筋トレ教室でも、骨盤底筋を含めたインナーマッスル(深層筋)を鍛えるエクササイズを取り入れています」

 ヒップリフトの詳しいやり方は次の通り。

①あおむけになり、真っすぐに寝た状態から膝を立て両足をピタリと閉じる。両手は体の横に手のひらを下向きにしておく。(写真A)

②口から息を吐きながら1、2、3と3秒かけ、お尻と腰を上方向にゆっくり上げる。肩から膝まで一直線になったら、肛門をキュッと締めて1秒間キープ。(写真B)

「骨盤底筋は深層筋なので体の奥に位置しています。上腕二頭筋(力こぶ)や腹直筋のように手で触ることができないので、“キュッ”と締める感覚を意識することが重要です」(小川氏)

③鼻から息を吸い、上げるときと同じスピードでお尻を元の状態に下ろす。

 この上げ下げ動作を15回繰り返す(1セット)。

「動作中は息を止めないことがポイントです」(小川氏)

■両足を閉じるのが難しい人は?

 普段何も運動をしていない人は、これを1日1セット実施。3セットできれば満点です。

「連続で行う場合、インターバルを最低数分はあけ、1セットずつ丁寧に実行するとより効果が上がります」(小川氏)

 なお、両足を閉じるのが難しい人は、膝の間にまくらやクッションを挟むといいという。

「ヒップリフトで骨盤底筋を鍛えることで尿漏れ、便漏れ、頻尿が改善されます。私の筋トレ教室の生徒さんの中にもレッスンを数カ月続けて、“冬場、夜中にトイレに立つ回数が減った”という60代女性がいました。この筋トレはヒップアップ効果もある上、背筋も鍛えられるため姿勢がよくなり、腰痛改善効果も期待できます」(小川氏)

 いいことずくめではないか。テレビのCM中にだってできそう。60歳過ぎたら日課にしたい。

病気が心配な場合は「排尿日誌」で記録

 繰り返すようだが、尿漏れの症状は人さまざま。冒頭の実例のほかにも、「若いころのように一気に出ない」「お腹に力を入れてチョロ、チョロッと途切れ途切れで出す」「トイレでパンツを上げた瞬間にチョイ漏れ」等々、還暦世代が4、5人集まれば病気自慢ならぬ尿漏れ自慢ができるほど。悲しいかなこれが現実だ。

 もし、病気が心配なら、自分で排尿日誌をつけてみたい。具体的には――、

①起床時から就寝時まで時系列で、トイレに行った時間と排尿量を記録する
②水分を取った時間と量を記録する
③尿漏れがあったときはその時間を記録

 これを数日間続ける。

 我々の膀胱は、300~400ミリリットルの尿をためることができる。それをお腹に力を入れずに、20~30秒で残すことなく排尿できるのが正常な状態。排尿回数は1日4~7回。夜間排尿は2回以下だ。

 大ざっぱだが自分が記録した排尿日誌が正常状態を大きく逸脱していたら、何らかの排尿障害の可能性が浮かび上がってくる。ネットで検索できるので気になる人は比較したい。

 医師でジャーナリストの富家孝氏がこう言う。

「尿漏れや頻尿をひっくるめて過活動膀胱と言います。ですが、年齢的に60歳前後からの尿の問題の多くはいわゆる前立腺肥大症の症状です。頻尿、トイレに行っても量が出ない尿意頻数、夜中に3回くらいトイレに立つなどが典型的なパターン。腹圧をかけないと出ないのもそう。男性の9割近くがこれでしょう。薬である程度改善されますが、スパッと完治するのは難しい。でもね、ガッカリすることはありません。前立腺肥大で死ぬことはない。確定診断は泌尿器科でできますが、私は尿漏れの大半は老化だと考えています」

トイレまでの時間を延ばすトレーニング

 急にトイレに行きたくなっても、ガマンできずに……。

 過活動膀胱の原因が泌尿器科の病気ならその治療を受ければいいが、原因を特定できないことも少なくない。心因性だ。

 泌尿器科では、このタイプにコーヒーやお酒などを飲み過ぎない、トイレは早めに、といった行動療法を指示する。その中で重要なのが、たとえば通勤経路の途中のトイレの場所の把握だ。

 鉄道会社のアプリを見ると、駅構内図でトイレの場所が分かる。散歩して百貨店をはじめ大型商業施設などもチェックしておく。もちろん、公衆トイレもだ。こうしたチェックで「ここにトイレがあるのか」と不安が解消されると、頻尿の頻度が軽減されることがある。

 もうひとつ大切なのが、トイレを我慢する訓練。過活動膀胱の人は、“タンク”にまだ空きがあるのに、ちょっとたまっただけで出そうとする。怠けがちな膀胱をしっかりためられるようにするのだ。

 やり方は簡単。トイレの場所チェックをした上で、きょうはA駅からB駅まで15分ガマン。それに慣れたら、20分、30分と少しずつ時間を延ばして、1時間くらいガマンできるようにする。2~3時間が目標だ。これで尿漏れとオサラバできるケースもあるという。

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