1日3時間×3カ月 中2レベルの英語力はアップするのか<2>

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 短期間で英語力を伸ばすと話題のコーチングサービス「プログリット」を始めることにした筆者。まずはカウンセリングを受けて英語力に合わせた学習プログラムを組むという。

「3カ月の英語学習を終えた時にどうなっていたいですか」

 席に着くとカウンセリング責任者(取材当時)の奥田拓陽さんが尋ねてきた。すぐに答えが出ないでいると、さわやかに話を続ける。

「英語学習では目標を持つことが重要です。そして、その目標に到達するためには何が必要かを明確にして学習する。英会話教室に通っても上達しないのは目標を持たず何となくやっているからというのも理由の一つなんですよ」

 打撃が苦手な高校球児なら、甲子園を目指してバッティング練習を繰り返すだろう。英語もそれと同じだというのだ。そこで自分の中2レベルの英語力を踏まえながら「海外旅行で困らないくらいになりたい」と目標を設定した。

 次に行ったのが英語力を測るテスト。英語の会話音声を聴いて内容を日本語で話す、日本語の質問に英語で答えるなど10分程度の簡単なテストで今の実力をチェックする。内容は中学生レベルだ。

 しかし、これがパッと単語が出て来なかったりして思った以上に答えられない。回答を終えて汗びっしょりの私に奥田さんは「確かにレベルでいうと中学2年くらいですね」と笑顔で言う。いや、ハッキリ言っていただいてありがたい。

 奥田さんの説明では英会話は大きくリスニングとスピーキングに分けられるという。さらにリスニングは音声知覚と意味理解、スピーキングは概念化、文章化、音声化に細分化される。そして、この5つのステップをスムーズに行えるようにするのが脳に蓄積された英語の知識データベースなのだそうだ。

「テストからわかるのは、中川さんの場合、リスニングはほとんどの力を聴き取ろうとする、つまり音声知覚に割いていること。音声知覚9に対し意味理解は1くらいの割合です。しかし、本来はこの割合が逆であることが望ましい。日本語を話す時は一語一語聴き取ろうとせず全体で音を捉えて意味を理解していますよね。英語も同じです。そのために効果的な学習法がシャドーイングと多読です」

 シャドーイングは英語を聴きながら、すぐ後を追うように音を真似て発音する学習法。正しい発音やアクセント、英語独特の音の変化がわかり、リスニング力がアップするという。多読は文字通り英文をたくさん読むことで、文章を分析せずに大意を掴めるようにするものだ。

■1日3時間のトレーニングの中身

 一方のスピーキングにおいては、私には文章化の強化が重要だという。文章化には簡単な日本語の短文を瞬時に英作して口に出す瞬間英作文が有効だが、私はその前に単語数を増やすとともに文法を学び直してデータベースを大きくすることから始めることになった。

「シャドーイング60分、多読30分、単語30分、文法60分の計3時間です」と奥田さん。文法を終えたら瞬間英作文に移るという。いつも三日坊主なんです……と恐れる筆者に「コンサルがフォローするので大丈夫。がんばりましょう」とどこまでも笑顔だ。ちなみにレベルが上がるとオンライン英会話が組み込まれる。

 こうしたプログリットのプログラムは「第二言語習得論」という研究に基づいている。その理論によると大人が英語を習得するにはインプットとアウトプットを8対2の割合で組み立てることが最も効果的だという。ここでいうアウトプットは英会話や文章を書くなど自分で思考して英語を使うことであり、単語や文法の学習のほかシャドーイング、多読もインプットに含まれる。

 とはいえ、私のような初級レベルはデータが足りないのでとにかくインプット。「よ~し、やるぞ!」と気合を入れて3カ月の学習が始まった。=つづく

(取材・文=中川明紀/ジャーナリスト)

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