石塚集
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石塚集

医学系編集プロダクション経営。医学ライター。東洋美術学校・ユーザーエクスペリエンス(UX)担当講師。テクノロジー系勉強会・湯川塾事務局。「AI新聞」副編集長。新宿・歌舞伎町でバーテンダーもしている。

「ソソノカシスト」と呼ばれて…人と人をつなぐ複業の達人

公開日: 更新日:

 今回紹介したいのは田邊健史さん(41歳)。田邊さんの肩書数がすごい。順天堂大学国際教養学部グローバル・ヘルスプロモーション・リサーチセンター、NPO法人きずなメール・プロジェクト、一般社団法人Work Design Lab、地域連携ステーションのフミコムなど。

 これらの仕事の依頼はすべて30代のときにできた人脈だという。

「仕事の内容は大まかに言うと『行政、地域活動、企業や大学など、地域の資源をつないで新しい価値を生み出すこと』です。今、週に3回ほど勤務している『フミコム』では年間300件以上の相談に対応しています。場所を持っている区には企画を、企画を持っている人や団体には企画が実践できる場を紹介します。今のような働き方に至るまでには、NPOの活動を支援する団体で、運営する人たちにマーケティングや人材育成などの実践から学ぶ企画に関わっていました」(田邊さん)

 田邊さんは“ソソノカシスト”という異名を持つ。相談に来た人たちをその気にさせ、つながりをつくるのだ。田邊さんのフェイスブックの友達は上限の5000人近い。どのように人脈をつくるのか。

「あえて価値観の違う人が参加しそうなイベントによく顔を出しています。また、15年くらいは毎年、名刺を1500枚以上交換します。私は企業や個人関係ではなく、すべての人と上下関係なくフラットに付き合えるようにしています。何かをやりたい人の気持ちを素直に聞いて、メリットが合いそうな別の人とつなぐ。そうやってつないだ人には私から相談を持ちかけやすくなります。職業病でしょうが、その人の活動の良いところを見つけて、この人が別の環境で活動することで、より能力が発揮できるなと、話をしているうちに、いつの間にか転職相談になっていることもあります」

 田邊さんがつないだことがキッカケで、具体的なコンテンツになったものをいくつか紹介しよう。

 まずは「小学校向けの主権者教育の教材づくり」。18歳選挙権が制定されたときに、教育委員会、教職員への教材づくりをするNPO法人、デザイナーらの連携をサポートし、教材が完成した。続いて「きずなメール・プロジェクト」。妊娠期から子どもが0~2歳の間に、子育ての孤立を防ぐためのアドバイスや励ましのメッセージを届ける取り組みで、医療の専門家と自治体とが協働する際に田邊さんがつないだ。そんな田邊さんは肩書やキャリアとは裏腹に、「隙がある」とよく言われるという。

「過去の笑い話ですが、有楽町駅から当時、銀座にあった事務所まで歩いている途中、『手相を見せてもらえませんか』と次々に占い師から3人連続で声をかけられたことがあります。押せば話を引き受けそうな隙があるらしい(笑い)。最近は相談を受ける入り口として、隙も大事だと思うようになりました。今の仕事も田邊だったら話を聞いてくれるかもというところからつながっていると思いますし。また、最近のコロナ禍でオンラインミーティングが増えましたが、リアルと比較すると偶然の出会いが激減しました。オンラインでは、自分の見せ方がうまい人が増えている気がします。わたしもこれまでのやり方を構造化して、ブログでも始めようかと思っています」

「隙」はリアルな出会いの場の方が生きるのだろう。最後に収入を聞いた。

「週に1回の仕事で数万~10万円くらいです。中には週3回の仕事もあるし、講演などの仕事は単発のものもあります。常に仕事を複数持っています。仕事はつながりの中でニーズに合わせて変化していきます」

 人を生かすことで、自分も生かされる。そうして田邊さんの仕事は生まれていく。  

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