石塚集
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石塚集

医学系編集プロダクション経営。医学ライター。東洋美術学校・ユーザーエクスペリエンス(UX)担当講師。テクノロジー系勉強会・湯川塾事務局。「AI新聞」副編集長。新宿・歌舞伎町でバーテンダーもしている。

お坊さん音楽フェスで生者と向き合う 一時は参加者1万人超

公開日: 更新日:

 東京・品川区にある熊野山父母報恩院「常行寺」の副住職であり、音楽イベントを主催している友光雅臣さん(37歳)は、学生時代からSFやテクノにハマり、DJとしても活躍。その後、パートナーの実家がお寺であることをきっかけに、比叡山延暦寺での修行を経て天台宗の僧侶となった。仏教、音楽、アート、日本文化などをミックスし、「自らの源と向き合う」ことをテーマにした「寺社フェス向源」を主催して今年で10年目。

 向源とはどんなイベントなのか。

「お坊さんは葬儀などの死者に対するサービスのイメージが強いですが、生者に対しても積極的にアプローチできると思ったんです。人は生きている中で他人との関係性に振り回されて自分を見失ったり、後先ばかり考えて不安になります。そんな時に座禅やお念仏、書道や生け花といった文化的な体験を通して、自分のシンプルな思いに立ち返る場をつくろうと思いました。仏教を突き詰めると、自他は対立し合うものではなく同一のものになっていくのですが、まずは自己を肯定的に認識してもらうことができる場にしたいと思っています」(友光さん)

 自他が同一になる感覚とは。

「毎年、比叡山では小・中学生が夏合宿をします。真夏は気温35度近くになり、大人たちは、行事中の子どもたちを団扇や扇風機であおいでやります。ある時、ひとりの子が持っていた団扇で、遊び感覚で他者をあおぎ始め、それを真似て皆が他者をあおぎ始めたんです。最澄さんの言葉に『悪事を己に向え 好事を他に与え 己を忘れて 他を利するは 慈悲の極みなり』とあるのですが、悪事を好事に変えて遊び合う姿から、明るく楽しい慈悲に気づきました。向源でもスタッフと参加者がお互いに上下なく遊び合うような感覚を味わえたらと思っています」

売り上げや規模は?

 友光さんが影響を受けたものは何か。

「北野たけしさんと浅草キッドさんがやっていたビートニクラジオ、電気グルーヴさんのドリルキングアワーなどのラジオ番組をよく聴いていて、社会学的な感性、たとえば暴力とは何か、メディアとは何か、そしてジャーマンエレクトロなどの音楽について深掘りしました。また押井守さんの映画からは、平和と戦争とは何かを考えるきっかけをもらいました。これらの影響は、向源にも表れていると思います」

 フェスの売り上げや規模の推移を教えてください。

「2011年の1年目は私がいる『常行寺』で始めて参加者70人、売り上げ10万円程度でした。それが150人、300人と増え、4年目に港区芝公園の浄土宗の大本山『増上寺』を借りることができてから、2000人、6000人、6年目に1万5000人にまで規模が拡大しました。当時は東京オリンピックの流れもあって日本文化を伝えるインバウンド需要も取り込んでいました。6年目の売り上げは1800万円でしたが、200万円ほどの赤字になってしまいました。規模が拡大するにつれ、自分の本当の気持ちに向き合う姿勢が薄れ、いつの間にか目的主義的になり身の丈を超えてしまったのだと思います。運営スタッフたちからも違和感が高まっていました。そこからは初心に戻り、中目黒の『正覚寺』に場所を移すなどして1000人規模のスケールにして継続しています。今年はコロナ禍ということもあり、ニコニコネット超会議2020内でテクノ法要×向源×DOMMUNEのオンライン配信イベントを行いました」 

 最後に音楽の魅力を聞いた。

「音楽に言葉や理屈は必要ありません。ただ好きか嫌いか、気持ちいいとか元気が出る、悲しいといった直感が次々と湧いてきて、そこに損得も嘘もありません。音楽の中にいると素直になれます。そこが魅力です」

 友光さんは米国で行われている、世界中からアーティストが集まるアートイベント「バーニングマン」にも参加するなど活動の可能性を広げている。 

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